すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


車返(くるまがえ)(静岡県沼津市)






昔たれここに車のわづらひて(ながえ)を北にかけはづしけん 海道記
昔、誰かここを車で通れなくて、北に向いていた轅をはずしたと
いう故事でもあったのであろうか(新編日本古典文学全集) 
(ながえ)・・・馬車や牛車を引く棒


ぬまづ観光ボランティアガイドのHPより



中世、東海道の沼津の宿駅は「車返し(くるまがえし)」と呼ばれていた。

「車返し」とは変わった地名であるが、車が通ることの出来ない程の急な坂があったことによるもの。

一方この歌は、「車返し」の地名から、この地では何らかの伝承があるのではないかと問いかけている。

「海道記」の本文には、カマキリが斧をいからして車に向かったとか、孔子が子供にやり込められて車を引き返したとか、曾子は親孝行なため不孝の者がいる所から車を返したとか、そんな故事を紹介しながら、自分は車ではなく馬に乗っているのでそのまま「車返し」を通り過ぎたとある。

いつの世も、何事も難しく考える人がいるもんだと思った。








2025年1月、東海道を歩くため、夜行バスに乗り、早朝の沼津駅に着いた。


たしか時刻表によると6時14分着の予定であったが、なぜか5時45分に着いてしまった。気温はマイナス2度。
駅の北口から南口への行き方が分からず、本当に途方に暮れた。



大回りしてなんとか着いたのが蓮光寺。
いろいろな資料によると、蓮光寺の東側の坂道が「車返し」とのこと



左の塀が蓮光寺、この坂が目的の「車返し」



少し坂の下からもう一枚撮影
車が上れないような坂ではなかった(現在では)














とにかく寒かったです





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