すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
三輪山と巻向山、その間を西に流れる巻向川。 巻向川が大和盆地に形成した扇状地、ここらが古代ヤマトの中心地で、「纏向」の地名が付く。 「纏向(まきむく)」って、古代遺跡発掘の関係のときによく聞く地名。 また邪馬台国の卑弥呼の墓の話題の時にも聞く。 現在でも遺跡の発掘は続いており、邪馬台国大和説を信じる古代史ファンが、発掘の状況を固唾を飲んで見守っている。 はたして、邪馬台国は、ヤマトにあったのか? ・・・ 個人的にはそれほど興味のない話で、「宇宙ができてから145億年」、「火星には水があったのか」とかと同じレベル感。 文学的には、巻向山を中心とした一帯の歌枕として、「巻向の檜原」「巻向の穴師」「巻向の弓月が岳」の表現も数多くみられる。 ![]() これが巻向山! ![]() これが巻向川!(昔は穴師川) 桜井市は観光街づくりの一環として万葉歌碑の設置事業を行っている。 桜井市のホームページに一覧表がある。 揮毫者もそれぞれ著名な人ばかりで、何かと興味は尽きない。 いつか全部の歌碑を回ってみたい。 その中で「巻向」関係の歌碑 |
ぬばたまの夜さり来れば巻向の川音高しもあらしかも疾き | 柿本人麻呂(万葉集) | |
夜になってきたら近くの巻向川の川音が、とりわけ高くなってきた。 山嵐が激しくなっているのだろうか。(訳:桜井市のホームページ) |
あしひきの 山かも高き 巻向の 岸の小松に み雪降り来る | 万葉集 | |
おや、巻向川の川岸の小松に雪が降ってくる。 このあたりは巻向山の山裾で、平地に比べて高いせいなのだろう。 (訳:桜井市のホームページ) |
巻向の山辺響みて行く水の水沫のごとし世の人我れは | 柿本人麻呂(万葉集) | |
巻向の山辺をどうどうと音立てて流れ行く川の水泡のようなものだ。 この世の人であるわれらは。(訳:桜井市のホームページ) |
ほかにもいろいろあるのだが、現在のところ「巻向」関係はこれだけ。 その他、巻向とあまり関係ないと思われる歌碑もあったが、せっかくなのでこのページで紹介。 |
山吹きの立ちしげみたる山清水酌みに行かめど道の知らなく | 高市皇子(万葉集) | |
十市皇女の葬ってある墓地のあたりには、黄色い山吹に取り囲まれた山の清水がある。 それを汲むために、皇女の御霊は通っておられるだろう。行って逢いたいなと思うが、 その道を知らないのでどうすることもできない。 (訳:桜井市のホームページ) |
あし原のしけしき小屋にすがだゝみいやさや敷きてわが二人寝し | 神武天皇(古事記) | |
葦のいっぱい生えた原の粗末な小屋で、菅で編んだ敷物を すがすがしく幾枚も敷いて、私たち二人は寝たことだったね。 (訳:桜井市のホームページ) |
これからも万葉歌碑の収録があれば、どんどんここに追加していきたい。 |