すさまじきもの ~歌枕探訪~


壬生寺(京都市中京区)





壬生寺は、幕末の新選組マニアが泣いて喜ぶような、新選組ゆかりの地。
というのは、新選組は文久3年、壬生の地で結成され、訓練は壬生寺で行われたもの。このため壬生寺にはいろいろな新選組の逸話が残る。
沖田総司が境内で子供を集めて遊んだり、近藤勇が壬生狂言を鑑賞したり、寺の池のスッポンを捕まえて料理したり、等々で、また新選組隊士の墓があり、現在まで慰霊供養祭が続けられている。
なお新選組の屯所であった八木邸や前川邸もすぐ近くにあり、当時のまま保存されている。(参考:壬生寺ホームページ)





そんな訳で、新選組つながりとして、有名な主要メンバー三人の辞世を紹介。

孤軍援絶作囚俘
顧念君恩涙更流
一片丹衷能殉節
睢陽千古是吾儔
靡他今日復何言
取義捨生吾所尊
快受電光三尺劔
只將一死報君恩
近藤勇 
孤軍援け絶えて俘囚となり 君恩を顧念して 涙 更流る 一片の丹喪 よく節に殉じ 雎陽は千古 これわが儔 
他に靡きて今日また何をか言はむ 義を取り生を捨つるは わが尊ぶところ 快く受く 電光三尺の剣 ただ まさに一生をもって君恩に報いむ
 

いやはや立派な七言律詩である。




たとひ身は蝦夷の島根に朽ちるとも魂はの君やまもらん 土方歳三

歌枕としては蝦夷かな




動かねば 闇にへだつや 花と水 沖田総司

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【壬生寺】・・・京都市中京区坊城通仏光寺上ル壬生梛ノ宮町31


壬生寺を訪問した

表門



ここらの広場で新選組は訓練したのだろうか



本堂
さすが、幕末風?に装った人々が参拝に来ていた。







さて、壬生寺はいわゆる古典文学の歌枕の地ではないのだが、大正昭和の歌人、吉井勇が壬生寺関連の短歌を残している。


鉦の音おなじ調べをくりかへし壬生寺の春も極まりにけり 吉井勇



これは吉井勇が壬生狂言(壬生大念仏狂言)を鑑賞した時のもの。とにかく鉦の音(カン)と太鼓の音(デンデン)が繰り返し効果音として鳴り響き、感極まったのだろう。











漬物で有名な壬生菜の発祥の地らしいです






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