すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


右田ヶ岳(みぎたがたけ)(山口県防府市)







右田ヶ岳

Wikipedia 「右田ヶ岳」より








これは山口県の防府市の航空写真であるが、北部から南流する佐波川の堆積作用や中世の干拓事業によって、現在では山口県下で最大の防府平野が現出した。

往古は湾内に桑島や田島、向島などの島が浮かび、穏やかな海に舟が行き交う風景があったのだろう。

今川貞世の『道行きぶり』には、「北の磯際に人の家有り、こゝを國府と申す」とある。海側から見た光景であろう。

航空写真は右田ヶ岳をマークしている。岩塊が屹立する独特の山容である右田ヶ岳であるが、当時は山麓まで海が迫っていた。海を渡る舟からは、すぐ真ん前に見えたことだろう。


夫木和歌抄に右田ヶ岳を詠んだ歌がある


まりふより心づくしへ行く人の右田ヶ嶽と云ひやそめけむ 夫木和歌集


まりふは周防国府の海辺の地名。
心尽(こころつく)し」と「筑紫(つくし)国」を掛けている。
歌の内容を詳しく分からないが、太宰府へ流される菅原道真を詠んだ歌なのかな。








じつは、2023年の夏に防府市を訪れたが、右田ヶ岳をきちんと写真で撮れなかった。

家に帰ってきて改めて地図を見ると麓を新幹線が走っている。

このためリベンジとして、仕事の出張のタイミングで2024年2月に新幹線の車窓から右田ヶ岳を撮影してきた。












九州からの帰路に窓側の席を確保した。







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麓の天徳寺は右田毛利氏の菩提寺とのこと




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