すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


南面(みなおも)の桜(岩手県紫波町)





小ネタ




紫波町の志賀理和気神社の参道に、一見して由緒あり気な桜の木がある。
これなん、中世の悲恋の物語を今に伝える「南面(みなおも)の桜」である。



現地の案内板より



南面の桜

 この桜には、いつのころからか次のような物語が伝えられている。
 元弘のころ、都からこの地に下った藤原頼之は、河東の領主 川村少将の娘、桃香と相思相愛の仲となった。ある日二人はこの社頭に桜を植えて、やがてくるであろう爛漫の春をひそかに夢見た。ところがその二人に悲しい日が訪れた。頼之が急に都に上ることになったのである。
二人は再会を固く誓って別れた。
歳月は流れ、かつて植えた桜はもののみごとに咲き、不思議にも桜は南面に向って咲いていた。
やるせない桃香の心が桜に宿ったものであろうか。


紫波町・紫波町観光協会

南面の桜の花は咲きにけり都のひとにかくと告げばや 桃香姫


その後については、@桃香はそのままこの地でさびしく暮らした、A歌を都の頼之に送ったら、なんと頼之が戻ってきて、この地で仲良く暮らした、B歌を都の頼之に送ったら、迎えが来て、桃香は都で頼之と一緒に暮らした、の三パターンがあるようだ。





こんな感じ



「南面の桜」碑



そしてこれが志賀理和気神社














地方によくあるパターンの逸話です。






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