すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


美濃のお山(岐阜県垂井町)




南から続く養老山地の山並みが、牧田川の流れでいったん途切れ、その北側に続く山。
もっと分かりやすく言うと、名神高速と東海道新幹線の間にある山のこと。

「美濃のお山」は歌枕としての呼び名で、現在は南宮山。山麓に南宮大社がある。



中山道で近江国から関ケ原から美濃国に入ると、まず目に入る山なので「美濃のお山」という名が付いたのだろうか。

関ケ原から望む。(西北西から眺める)
真正面の端正な山が「美濃のお山」。



北東から望む。
逆光でよく分からないが、写真のちょうど真ん中ぐらい。





こんな「美濃のお山」を題材に平安時代の伊勢が詠んだ。


思ひ出づや美濃のを山ひとつ松 契りしことはいつも忘れず 伊勢(新古今和歌集)


「憶えてますか、美濃のお山の一本松のように、あなたが待つと約束したことはずっと忘れてません」というような意味であり、多分、伊勢は現地を訪問したわけでなく、語呂が良かったのか、その時代の流行だったのか分からないが、この歌は評価されて新古今和歌集に入集されている。



どうも「美濃のお山」は一本松がアイコンになっていたようだ。
次の歌は室町時代の覧富士記から。


美濃山松は一木の蔭にしも旅寝かさぬる千代の秋かな 覧富士記



枕草子にもこの山が登場しているらしいが、確認できていない。












実際のところ、そこら辺にある山でした。





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