すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
博多駅から至近にある万葉集ゆかりの地。 実にマイナーな万葉故地であるが、歴史広場としてきちんと整備され、立派な石碑も設置されている。 現地の案内板から転載
![]() 「萬葉遺跡 蓑島の碑」 ![]() これが歴史公園 この辺りは博多湾に浮かぶ小島だったとのことだが、現地ではそれらしい地形を感じることができなかった。 |
懸けまくは あやに畏し 足日女(たらしひめ) 神の命(みこと) 韓国(からくに)を 向け平(たひら)げて 御心を 鎮め給ふと い取らして 斎(いは)ひ給ひし 真珠なす 二つの石を 世の人に 示し給ひて 万代に 言ひ継ぐがねと 海の底 沖つ深江の 海上の 子負(こふ)の原に み手づから 置かし給ひて 神ながら 神さび坐す 奇魂(くしみたま) 今の現(をつつ)に 尊きろかむ | 万葉集 |
天地の共に久しく言ひ継げと此の奇魂(くしみたま)敷かしけらしも | 万葉集 |
この歌の左註に「右の事を伝へ言ふは、那珂郡の伊知の郷蓑島の人建部牛麻呂なり」とあることから蓑島は万葉ゆかりの地とされてきたのだが、蓑島の住人の建部牛麻呂がこの伝説を伝えただけで、この歌は蓑島を詠んだものでない。 これは「子負の原」を詠んだもので、神功皇后関連のもの。(詳しくは「子負の原」をご参照ください) と、こんな感じで蓑島を否定してしまったら元も子もないので、平安時代に蓑島を詠んだ歌を紹介 |
ふらば触れ御笠の山し近ければ簑島まではさして行きなん | 檜垣嫗集 |
雨に因んだ「降る」、「笠」とか「簑」を用いている。御笠山は大宰府近くの宝満山のこと。 |