すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


三尾の崎(滋賀県高島市)





思ひつつ来れど来かねて三尾の崎 真長の浦をまたかへり見つ 万葉集
心にかけながらやって来たが、行き過ぎかねて、水尾が崎から真長の浦を
また振り返ってみたことである(びわ湖高島観光協会)
 


滋賀県高島市の三尾山が琵琶湖に突き出たところが「三尾の崎」。
昔は京都と北陸間の往来は琵琶湖の舟航が主な通行手段であった。
琵琶湖に突き出た三尾の崎は舟の旅人にとって印象深い風景であっただろう。



琵琶湖と「三尾の崎」
手前の浜は「真長の浦」、現在の「萩の浜」




これは乙女ヶ池から「三尾の崎」を撮影
乙女ヶ池は、かつての入り江。「香取の海」と呼ばれた万葉集の歌枕










紫式部も「三尾の崎」で歌を詠んでいる




三尾の海に網引く民のてまもなく 立ち居につけて都恋しも 紫式部


白鬚神社に歌碑

びわ湖高島観光協会の解説
「この歌は「源氏物語」の作者紫式部が、この地を通ったときに詠んだものです。平安時代の長徳2年(996年)越前の国司となった父藤原為時から船路にて湖西を通り越前に向かいました。途中、高島の三尾崎の浜辺で、漁をする人々の網を引く見なれぬ光景に、都の生活を恋しく思い出して詠んだのがこの歌です。紫式部の若き日を偲んで、白鬚神社の境内に歌碑が建立されています。」










三尾山は、昔は材木の伐採地である杣山(そまやま)だったのか、次のような歌も詠まれた。


高島や水尾の中山たてゝ つくりかさねよ千代のなみ藏 拾遺和歌集


五月雨になほ川音も高島や 水尾杣山雲もなかれむ 頓阿(草庵集)














北陸新幹線が大阪まで延伸したら、JR湖西線はどうなるのかな






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