すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


三輪の崎(和歌山県新宮市)



上田秋成の雨月物語の「蛇性の婬」は、三輪崎に住む主人公が美しい女性と恋愛するも、実はその女性は実は蛇であって、逃げ惑うがどこまでも追いかけてくる、そして最後は法力によって蛇を退治するという話。

物語の中で、雨が降り続く場面があり、
苦しくも降り来る雨か三輪の崎狭野の渡りに家もあらなくに
の万葉集の歌がでてくる。


こんな感じで、なにかと由緒有り気な故地「三輪の崎」に行ってきた。


ジャーン!
JR三輪崎駅。いい感じの跨線橋。ほとんど列車は来ない。


もちろん無人駅。


駅構内で浜木綿を発見!奥の株
(手前はアロエ)

  
三輪崎の駅名を見ただけで大満足



まあ見たところ、普通のローカルな駅でした。









「佐野の渡り」のページとダブるが、近くの黒潮公園の歌碑の中から、三輪崎関連の5基を再掲載する。

苦しくも降り来る雨か三輪の崎狭野の渡りに家もあらなくに
(長意吉麻呂/万葉集)
 
三輪の崎荒磯(ありそ)も見えず波立ちぬ 
いづくゆ行かむ 避き道
(よきじ)はなしに
(詠み人知らず/万葉集)
 
三輪が崎夕汐させばむら千鳥 佐野のわたりに声うつるなり
(藤原実家)
 
みわが崎荒磯も見えずかかるてふ 波よりまさる袖やうちなむ
(民部卿為家)
 








「三輪の崎」と云うからには、海で岬を探そうと思い、海岸沿いへ出てみた。そこには一般的なローカルな海辺の風景があった。


夏はキスが釣れそうな海岸。


「三輪の崎」とは、この岬のことではないかと推察。
ただし、これは「佐野の渡り」の孔島を反対側から見た風景。
歌の通り、ここらは荒磯なので、千年の歳月で風景も変わってしまうだろう。









 






個人的にはとても満足した訪問でした。






copyright(C)2012 ゆかりの地☆探訪 〜すさまじきもの〜 all rights reserved.