すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


宮路山(愛知県豊川市)



「更級日記」や「十六夜日記」に出てくる割に、メジャーでない歌枕の地。
いろんな本やインターネットを探しても、あまり情報がない。
頼りのWIKIPEDIAもハイキングコースや紅葉の情報だけ。
なんとも“通好み”の故地である。



そんな宮路山に行ってみた。
というか、写真を写してきた。


国道一号線から撮影。
真ん中の奥の山。
なんとも良い形の山であるが、どこにでもある山の風景である。









更級日記では、

10月のつごもりになるのに、まだ紅葉が散らず、まっ盛りであった。


嵐あらしこそ吹き来こざりけれ宮路山まだもみぢ葉の散らで残れる 更級日記
宮路山にはまだ嵐が吹いてないらしい。
まだもみじの葉が散らないで残っているよ。
 

この頃から紅葉の名所であったようだ。





 




次に、十六夜日記



待ちけりな昔も越えし宮路山同じ時雨のめぐりあふ世を 十六夜日記

作者の阿仏尼は前も東海道を下っている。
その様子を前作「うたたね」に記している。



「十六夜日記」続く

山の裾野に竹ある所に、萱屋ただ一つ見ゆる、
いかにして、何のたよりに、かくて住むらむと見ゆ


主や誰山の裾野に宿しめてあたりさびしき竹の一むら 十六夜日記

宮路山の裾野の竹林の様子を詠い上げている。










その他の歌


君があたり雲井に見つつ宮路山うち越えゆかん道も知らなく 後撰和歌集

この歌の訳文はこうなる。
 「雲居」は宮中のこと。「宮中にいる貴女のことを思いながら、宮中と縁のある地名の宮路山を越えてゆこう。その先の道は知らないが」











「宮路山もみじ祭」が毎年11月に開かれるらしい。
ハイキングコースになっていて、市民に愛される山であった。

















個人的には満足してます。







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