すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


宮滝(奈良県吉野町)






吉野離宮周辺の歌枕の地はこれまでさんざん当ホームページで紹介してきた。
「吉野川」にはじまり、「秋津」、「夢のわだ」、「たぎつ河内」。これに「三船山」、「象山」、「菜摘」も含め、結局は同じようなところの情景を詠ったもの。
写真も同じような場面が続く。
ホームページも同じような「作り」になってしまう。

それでもやっぱり吉野には魅力があり、先日(2013年12月)もついつい再訪してしまった。



昔はここに滝があったらしい。
中世に上流で伐採した木材を流すために
岩を掘り切り、人工的に水路を作ったもの。



柴橋を望む。
万葉の人々はここで船を
浮かべて遊んだらしいが。


 宮の滝むべも名におひて聞こえけり落つるしらあわの玉とひびけば 宇多法皇(後撰)
宮滝はたしかにその名の通り素晴らしい。落ちる白泡が玉のように響くよ。





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谷崎潤一郎「吉野葛」の宮滝を紹介したくだり
 ・・・ 笠朝臣金村のいわゆる「三吉野乃多藝都河内之大宮所」、三船山、人麿の歌った秋津の野辺等は、皆この宮滝村のちかくであるという。私たちはやがて村の中途から街道を外れて対岸へ渡った。この辺で渓は漸く狭まって、岸が嶮しい断崖になり、激した水が川床の巨岩に打つかり、あるいは真っ青な淵を湛えている。・・・






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 ところで、宮滝の地は縄文時代、弥生時代から人々が住んでおり、それぞれの年代の遺跡が発掘されている。
この地は太古から住みやすいところ(=吉野)だったのだろう。




宮滝遺跡碑


















家へのお土産は今回も草餅でした。







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