すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


深泥池(京都市北区)





(案内板の写真を接写)



京都市北区にある湿地。
なんとここは「ため池」のような人工の構造物ではなく、自然にできた地形らしい。起源は氷河期にまで遡り、今でも氷河期の貴重な生態系が残っているとか、現地の案内板に書いてあった。そんなこんなで国の天然記念物に指定されている。



浮島(島のように見えて実は下には水があり、島が浮いている地形)が3分の2を占めるらしい。
池の起源や浮島など、地形的なことには興味を持ったが、生物的なことはどうもよく分からなかった。




ものすごく浅い池だった。



氷河期以来の池が現在まで残っているのは奇跡的なこと。
思うに、池に流入する川がないため土砂の堆積を免れたことと、ここは昔からの心霊スポットで人々はあまり深泥池に手を付けなかったこと、これら自然と人智の絶妙な差配により、現在の深泥池の姿があるのだろう。
いやはや感慨を禁じ得ない。

心霊スポットの話が出たが、ここは中世からの心霊スポットらしく、いろいろな伝説が残っているが、割愛する。Wikipediaには「室町時代の説経節『小栗判官』に大蛇が棲むという話がある。タクシー乗客の女性が突然消えた事件が新聞で取り上げられたこともある」と記述されている。
今でも霊感の強い人には感じるようで、京都の隠れた人気スポットとなっている。







こんな深泥池を詠んだ歌


名を聞けば 影だにみえじ みどろ池 すむ水鳥の あるぞあやしき 和泉式部



探せば他にもあると思うが、今のところ深泥池にちなんだ歌はこれしか収集できていない。
しかし今様の中で、わずかに深泥池を発見。


いづれか貴船へ参る道 賀茂川箕里御菩薩池御菩薩坂
畑井田篠坂や一二の橋 山川さらさら岩枕
梁塵秘抄



「御菩薩池」と書いて深泥池のこと。







都名所図会「御菩薩池」

早稲田大学図書館














「幽霊タクシー」発祥の地らしいです。





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