すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


用瀬(鳥取市)








用瀬と書いて「もちがせ」と読む。
一年間の穢れを払う「流し雛」で有名、らしい。

私は男兄弟世帯で、雛人形とは全く縁がなく育ち、結婚して娘が一人できて幼い頃は雛人形を飾ったりしていたが、妻が全てを仕切っていて私は何も関与しなかったので、どんな雛人形を我が家で飾っていたのか、まったく記憶がない。

いつも釣りに行く和歌山県の加太に人形供養で有名な淡嶋神社があり、舟の中に大量ので雛人形を積んで海に流す神事がテレビニュースで流れるが、まったく興味がない。

とは言え、流し雛は穢れを水に流して清めるという古来からの民俗行事らしく、なんと源氏物語でも須磨の巻で雛流しが登場する。

人形と言えば、子供の頃、ウルトラマンの怪獣の人形収集が大好きであったが、それと同じなのであろうか。





2020年夏、新型コロナウイルス感染が拡大する中、鳥取方面への旅行を敢行した。車での一人旅なのでコロナの感染は心配ないが、どの観光地も閑古鳥が鳴いていた。

流し雛にはあまり興味がなかったものの、著名人の発句もあることから、用瀬にも行ってみた。在原行平が詠んだ三角山(みすみやま)が目の前に見えた。






【現地訪問】


用瀬を流れる千代川。「せんだいがわ」と読む。
北流して鳥取市で日本海に注ぐ。



この下の石畳のところから雛を流すらしい



向こう岸の三角の山が、在原行平ゆかりの三角山(みすみやま)。



「もちがせの流しびな
 もちがせの流しびなは旧暦の三月三日、男女一対の紙雛を桟俵にのせ、菱餅や桃の小枝を添えて、災厄を託して千代川に流します。無病息災で一年間幸せに生活できますよう願う情緒豊かな民俗行事です。
 昭和60年、鳥取県無形民俗文化財に「用瀬のひな送り」として指定されています。」




史跡として整備されていた。



国土交通省の粋な看板があった。




用瀬の流し雛を詠んだ句



瀬の曲がり なぞりての 流れゆく 山口誓子


観光物産センターに句碑



里の子の 晴着の袖や流し 水原春郎


千代川に面して句碑あり




やゝありて 流れはじめし (ひいな)かな 黛まどか


山里は むかしのままや 流す 八百谷杜仙















女の人形は、怪獣の人形よりも怖いです。






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