すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


唐ケ原(もろこしがはら)(神奈川県大磯町)








古くは「諸越原(もろこしがはら)、現在の町名は「唐ヶ原(とうがはら)」。





■渡来人が住んだ

大磯町大磯から平塚市の花水側西岸一帯の海浜は、古くから「もろこし河原(がはら)」と呼ばれていた。5世紀前後から、朝鮮の人々が集団移住して開拓した土地であったことがその由来といわれている(Wikipedia「唐ヶ原」)

すぐ近くに高麗山(こまやま)があり、山麓に鎮座する高来(たかく)神社は高句麗からの渡来人に由来するといわれる。現在の地名も高麗(こま)





■更級日記に登場

「もろこしが原といふ所も、砂子のいみじう白きを二三日(ふつかみか)行く。夏はやまと撫子(なでしこ)の、濃くうすく錦をひけるやうになむ咲きたる。これは秋の末なれば見えぬ」といふに、なほ所々はうちこぼれつつ、あはれげに咲きわたれり。「もろこしが原に、やまと撫子しも咲きけむこそ」など、人々をかしがる」(更級日記)

え〜と、大和撫子が朝鮮由来の唐ヶ原に咲いているのを面白がっている





■場所はどこ?

東海道名所図会には「唐ケ原は又諸越ヶ原(もろこしがはら)とも書す。片瀬河の東をいふ、東海道筋大磯と平塚のあいだを唐ケ原といふは(あやまり)なり」との記述がある
それによると歌枕である「片瀬川」を挟んで東に「唐ヶ原」、西に「砥上ヶ原」、河口付近を「袂浦」と歌枕の一大集積地になってしまうが、この記述は間違いらしい


唐ヶ原は、歴史的に見ても平塚市にあるとのこと








■唐ヶ原を詠んだ歌


東路もろこしの里におりてたつきぬをやからの衣といふらん 柿本人丸


名にしおはば虎やふすらん東路にたつといふなるもろこしが原 藤原忠房(夫木和歌抄)


まどろまんよなかにしばし鳥羽玉(ぬばたま)の夢路ぞ近き唐が原 歌枕名寄


はるかなる中こそうけれ夢ならで遠く見えけり唐が原 懐中抄







■現地訪問


東海道の高麗付近


これも
この辺りが唐ヶ原だと目星を付けて訪問したが、家に帰って他人のホームページを参照すると、花水川の西側のもっと海に近い場所だったようだ。


高麗山


高麗山と高来神社の参道


東海道を歩いた時に行った
疲れ果てていたので(足が動かない)境内に入れず












なぜかこのページの作成にはかなりの時間がかかりました





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