すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


武庫(むこ)(兵庫県尼崎市)

「武庫」は由緒ある地名で、神功皇后紀にも記されているらしい。
兵庫県の尼崎、西宮沿岸部から宝塚にかけての地域に「武庫」の名がつけられている。

現在では、
武庫川」はこの地域を流れる二級河川。
武庫之荘」は阪急沿線の高級住宅地街。
武庫山」は宝塚市にある丘陵。
武庫女」は武庫川女子大学のこと。
武庫一」は武庫川一文字のことで、沖合にある魚釣りの防波堤。

いつも何気なく通りすぎている所であるが、休みの日にちょっと寄ってみた。




武庫川
雨のあとだったので、増水して濁っている。



武庫川の河口。







武庫の海の庭良くあらしいざりする海人の釣舟波の上ゆ見ゆ 万葉集





朝開き漕ぎ出て来れば武庫の浦の潮干の潟に鶴が声すも 万葉集





この歌碑も、探しまくった末に、他人のホームページに掲載されていた写真で歌碑の背景にあった小学校の非常階段の色合いをヒントにようやく行き着いた。




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さて、「武庫の浦」を撮影しようと鳴尾浜の臨海公園まで行ったが、海を撮影することができなかった。防波堤には入れなかった。

       
「リゾ鳴尾浜」。年中泳げるプールがあるらしい。
この左手が防波堤。柵があって上れなかった。


       
「武庫川団地」。
武庫の浦は埋め立てられて、団地に変わった。




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帰り道、なんと、阪神高速から「武庫の浦」の撮影ができた。







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たまはやす武庫の渡に天づたふ日の暮れゆけば家をしぞ思ふ 万葉集
※たまはやす ・・・ 武庫の枕詞

   
現在版「武庫の渡し」を発見!
昔は武庫川の渡しであったが、現在では武庫川沖の一文字防波堤へ
釣り客を渡している。



その他の万葉歌の紹介

武庫の浦の入江の渚鳥羽ぐくもる君を離れて恋に死ぬぺし 万葉集
武庫の浦を漕ぎ廻る小舟粟島をそがひに見つつともしき小舟 万葉集
住吉の得名津に立ちて見渡せば武庫の泊ゆ出づる船人 万葉集
武庫川の水脈を早みか赤駒の足掻くたぎちに濡れにけるかも 万葉集




摂津名所図会の「武庫川」
(早稲田大学図書館)






※大阪住吉浜から、海の向こう側にあるから武庫(むこ)と呼ばれたという説がある。











いろいろ行って疲れました






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