すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


六田(奈良県大淀町)

近鉄吉野線でいえば、終点吉野駅から3つ手前の駅。
吉野川もこの辺りまで下れば川幅はかなり広くなっている。
古来、六田の地は吉野川の渡し場として栄えてきた。
柳の木が目印となり、「柳の渡し」と呼ばれてきた。
六田を歌枕とする多くの和歌に『柳』が歌い込まれている。


 かわづ鳴く六田の川の(かわやぎ)のねもころ見れど飽かぬ川かも 万葉集
カエルが鳴いている六田の川柳の情景は、
じっくり見ても本当に飽きがこない川の眺めだ

※六田(読み:むつた)
※ねむころ・・・ねんごろ



高瀬さす六田の淀の柳原みどりもふかく霞む春かな 西園寺公経(新古今)



みよし野むつだのよどの川柳みどりをくくる春の岩なみ 後鳥羽院





吉野川の左岸(南側)から下流方面
美吉野橋の南詰から



美吉野橋の南詰に歌碑がある



吉野川の右岸(北側)から東方面
美吉野橋が見える



現在に残る川柳の木



「柳の渡し」の石灯篭



万葉時代、明日香から峠を越えて吉野宮へ向かう行程では、吉野川を最初に目にするのはこの六田の辺りであったという。
飛鳥川とかとは全くスケールが違う吉野川のデカさに圧倒されたことだろう。


そこでこの歌

 音に聞き目にはいまだに見ぬ吉野川 六田の淀を今日見つるかも 万葉集
いやはや噂には聞いていたけど、まだ見たことなかった吉野川、今日六田に来てついに見ましたよ








(地図のマークの場所に万葉歌碑)









「柳の渡し」は交通量の多い国道沿いにあり、
写真を撮るのに苦労しました。








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