すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
長尾(岡山県倉敷市)
はるかにぞ今行く末を思ふべき 長尾の村のながきためしに | 藤原経衡(新拾遺和歌集) | |
はるか将来のことを考えておかねばなるまい。長い長い平和の続いている この村の状態を見て(おかやまの和歌/岡山県郷土文化財団) |
八束穂の長尾の村の秋をさの頼みおほかる御代ぞたのしき | 小沢蘆庵(六帖詠草) |
八束穂・・・よく実った長い稲穂。「長尾」に続く
秋をさ・・・秋の収穫「秋をさめ」のこと
倉敷市水島の長尾は、その「長い」という語意が縁起良いということで、新天皇即位の大嘗祭に献上する米を栽培する主基田に選ばれている。 この当時、「長い」や「大きい」、「多い」、「高い」といった意味の地名は慶祝性が高いとされていた。 長尾村では大変な名誉であったようで、その後も主基田とされた田んぼで獲れた米を長尾村の長尾神社の祭典に供してきたとのこと。 ■現地訪問 とりあえず長尾神社へ行ってみることにした。 ![]() ところが車を停める場所がなく、しかたなく(?)、鳥居だけ撮影して退散した。鳥居の向こうに見える石段に恐怖を感じたのも事実。 ところがその日の晩、泊まっていたホテルでインターネットを見ていたところ、長尾の主基田の石碑があるとの情報を得た。 「ザ・玉島!!玉島コラム」というサイトで、その名の通り玉島を紹介するホームページである。石碑の場所については、 「大きな県道倉敷笠岡線が貫いていて・・・」 「ここは整備前、谷間になっており・・・」 「現在この県道脇に碑が建てられている」 といった断片的な内容だった。地元の人でないと分からない。
それが次の日にたまたま二万の里に向かう途上の道路沿いで、その石碑に遭遇した。 本当にラッキーであった。 ![]() 上の「はるかにぞ〜」に和歌も刻印されていた。 昔の主基田があった場所に石碑が設置されている。 ![]() これが新道。 谷を埋めて作ったらしい。 |