すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


長門の島(広島県呉市)








「安芸の国の長門の島にして磯辺に船泊りして作る歌五首」


石走る滝もとどろに鳴く蝉の声をし聞けば都し思ほゆ 万葉集

山川の清き川瀬に遊べども奈良の都は忘れかねつも 万葉集

磯の間ゆたぎつ山川絶えずあらばまたも相見む秋かたまけて 万葉集

恋繁み慰めかねてひぐらしの鳴く島蔭に廬りするかも 万葉集

我が命を長門の島の小松原幾代を経てか神さびわたる 万葉集


桂浜の松原に木片の歌碑






「長門の浦より船出する夜に、月の光を仰ぎ観て作る歌三首」


月読の光を清み夕なぎに水手の声呼び浦み漕ぐかも 万葉集

山の端に月傾けば漁りする海人の燈火沖になづさふ 万葉集

我れのみや夜船は漕ぐと思へれば沖辺の方に楫の音すなり 万葉集


上記8首が刻印された歌碑







天平8年遣新羅使が新羅国へ向かう途中、安芸国の長門島に停泊して詠んだ歌が万葉集に収録されている。

長門島は現在の倉橋島で、島の南部の入り江の桂浜は瀬戸内を往来する船の停泊地であった。

なぜ安芸国に長門(国?)なのか、と最初は戸惑った。実にややこしい。

そのためだろうか、万葉集以降に長門島を詠んだ歌は見つけることができない。







■ 現地訪問



先ずは桂浜に鎮座する桂濱神社へ
万葉時代には既に創建されていたという



社殿



次に遣新羅使たちが泊船した桂浜へ行った、東向き
なにかの資料に、万葉の時代と同じ風景が今でも残っている、と説明されていたが、訪問したのが真夏だったので海水浴客が大勢いた



西向き



南向き



ビーチの中心地に巨大な万葉歌碑があり、その周りを海水浴客のテントがたくさん張られていた
















呉からかなり遠かったです





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