すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


奈具の社(京都府京丹後市)





■ 追い出された天女がたどり着いたところ



奈具神社の社頭の案内板を簡記する

・丹後国風土記逸文によると、

・むかしむかし、天女が真奈井の池で身を清めていた

・子無しの老夫婦が羽衣を隠し、帰れなくして、一緒に暮らすようになった

・天女は、万病に効く酒を作り、老夫婦は大金持ちになった

・ある日、突然、天女は家を追い出された

・天女はさまよい歩き、竹野郡舟木の里の奈具の村にたどり着き、

・「なぐしく成りぬ(こころが安らかになりました)」と言った

・この天女が奈具社に祀られている豊宇賀能売命である


社頭案内板




え〜と、インターネットのweblio古語辞典によると、

「なぐ」(和ぐ)
自動詞ガ行上二段活用
@心が穏やかになる。なごむ
A風がやみ海が静まる。波が穏やかになる。


ということで、天女はこの地にたどり着いて心が「なごんだ」ので奈具の里になったもの。




天女が老夫婦の元を追い出され、行く先もなく嘆き悲しんだ時に詠んだ歌が伝わっている


天の原ふりさけみれば霞立ち家路まどいて行き方しらずも 豊宇賀能売女


悲嘆に暮れた天女の気持ちがよく詠まれている。







■ 現地訪問





奈具神社、住所は京丹後市弥栄町船木 奈具273
宮津市にも同名の神社があり、同じような伝承が伝わっている。
ただし丹後国風土記逸文では竹野郡の話となっているので、こちらが本家なのか、どうなのか。




かなり上まで石段が続いていて一瞬怯んだのだが、よく見ると、立ち入り禁止になっていた。




電気柵使用中で感電注意となっていたので穏やかではない。
とはいえ、この石段を上ることにいささか躊躇していたので、助かった!と思ったのが正直な気持ち。





どうしようもないので神社の前に広がっていた田んぼを撮影した




これも






家に帰ってきて、いろいろ調べてみると、もともと奈具神社は違うところにあったが、洪水で流されたので、現在の場所に移設したとのこと。


















パソコンで「なぐ」を変換すると「和ぐ」と出たので感動しました






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