すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


難波(なにわ/大阪市中央区)

現在では、大阪「キタ」の繁華街に対し、「ミナミ」と呼ばれる繁華街の代表的な地名「なんば」のこと。


古代では、淀川や大和川の河口にあたり湿地帯として「難波潟」、奈良大和政権の外港として「難波津」があり、『なにわ』は大阪の古称であった。


漢字は「難波」「浪速」「浪花」「浪華」がある。



難波津に 咲くやこの花 冬ごもり 今は春べと 咲くやこの花   古今和歌集仮名序
仁徳天皇の治世の繁栄を願って詠まれた歌。



大阪の行政区の「此花区」はこの歌からとっている




道頓堀の繁華街


道頓堀川とひっかけ橋


かに道楽


千日前


御堂筋


どうも写真撮影の腕前が悪いようだ。





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百人一首には「難波」を詠んだ歌が三首もある。



わびぬれば今はた同じ難波なる身をつくしても逢はんとぞ思ふ 元良親王
これほど思い悩んでしまったのだから、今はどうなっても同じ
 ことだ。難波の海に差してある澪漂ではないが、この身を滅ぼし
 てもあなたに逢いたいと思う。


難波潟みじかき葦のふしの間もあはでこの世を過ぐしてよとや 伊勢
難波潟の芦の、節と節との短さのように、ほんの短い間も逢わ
 ずに、一生を過ごしてしまえと、あなたは言うのでしょうか。


難波江の芦のかりねのひとよゆえみをつくしてや恋ひわたるべき 皇嘉門院別当
 難波の入り江の芦を刈った根っこ(刈り根)の一節(ひとよ)
 ではないが、たった一夜(ひとよ)だけの仮寝(かりね)のため
 に、澪標(みおつくし)のように身を尽くして生涯をかけて恋い
 こがれ続けなくてはならないのでしょうか




近鉄「大阪難波」駅



地下鉄千日前線「なんば」駅






今回は難波駅周辺、道頓堀界隈をまわったが、
もとより「なにわ」は古代大阪の総称なので、現在の
ミナミの繁華街とはあまり関連性はない。







むしろ大阪港遠望の写真の方がいいかも。


大阪ベイホテル(弁天町)より












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