すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


楢の小川(京都市左京区)







いろいろな小川が下鴨神社の境内を流れているが、その中で一番有名なのが「楢の小川」であろう。
それは、この歌が百人一首に採り上げられているから。


風そよぐならの小川の夕ぐれは みそぎぞ夏のしるしなりける 従二位家隆(百人一首)
風がそよそよと楢の葉に吹いている楢の小川の夕暮れは秋のように涼しいが、
みそぎが行われていることが夏である証拠だよ。(歌まくら歌ことば辞典) 


(写真追加)上賀茂神社の夜具橋近くに歌碑


現在の「楢の小川」は御手洗池に湧出した水が「御手洗川」として下鴨神社の境内を流れ、境内を出た辺りで「楢の小川」と名前を変えるもの。
河合神社辺りでは「瀬見の小川」となる。


これが「楢の小川」の禊ぎの現場


糺の森の中を流れている







じつは、発掘調査で中世の「楢の小川」が発見され、現在では復元されている。
そして上記の図のとおり、泉川から水を引いて御手洗川(楢の小川)に注いでいる。



これが旧「楢の小川」







とりあえず都名所図会「楢の小川」

早稲田大学図書館

川幅だけは現在と同じである










いやはや、狭い敷地の中で3通りの名前がある川も珍しいです












 【追記】

上賀茂神社に行ってきた。
そしたら上賀茂神社にも「楢の小川」があった。

こんなかんじ

二の鳥居の内側では「御手洗川」と呼ばれる。下鴨神社と同じだ。



そして、これも下鴨神社と同じく、御手洗川の上に「橋殿」が建てられている。



二の鳥居から一の鳥居までを「楢の小川」というようだ。
(上賀茂神社のホームページの境内案内図によると)




外に出ると、「明神川」となる。
非常に風情のある景観である。










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