すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


鳴滝(京都市右京区)




松尾芭蕉の「野ざらし紀行」の一節


京にのぼりて、三井秋風が鳴滝の山家をとふ。

梅 林

うめ白しきのふや鶴を盗まれし 松尾芭蕉


鳴滝の現地に句碑


この句は、宋の高士、林和靖が梅と鶴をこよなく愛した故事をふまえている。
芭蕉は、京都の富豪にして談林の俳人である三井秋風の鳴滝の山荘を訪ねたが、素晴らしい山荘には梅の木と鶴がいるもんだが、鶴がいないのは、昨日盗まれたに違いない、と詠んだもの。
ただし、そのような意味であるなら、鳴滝の滝そのものは関係がないようで、山荘のある地名として鳴滝が用いられている。







鳴滝は御室川にある滝で、滝音が鳴り響くために鳴滝と名前が付いたようだ。

今ではこんな滝

中世からずっとここに滝があるのはスゴイ。
なにか地形的な特徴があるのだろう。



轟音が鳴り響くような、想像していた滝ではなかった。



滝を過ぎると普通の川になる。



一方、こちらは滝の上流側。
三面コンクリートの一般的な町中の川になってる。



こんな鳴滝を詠んだ歌


落ちまさるわが涙にしくらぶればかの鳴滝も名のみなりけり 相模


暫しこそ人目つつみにせかれけれ果は涙や鳴滝の川 西行

これらは滝を涙と掛けている



身一つのかく鳴滝を尋ぬればさらに返らぬ水も澄にけり 藤原道綱母(蜻蛉日記)

ん〜、ちょっと分かりにくい
























鳴滝って聞くと、反射的にシーボルトが思い浮かびます。






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