すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


梨木神社(京都市上京区)




梨木神社は「なしのきじんじゃ」とよむ。

京都オンチなので初めて聞いた名前である。

JTBのガイドブック「楽楽 京都」によると、
「幕末から明治にかけて活躍した三条実万と子の三条実美を祭神として、明治18年に創建された。(中略)
長い参道には白や赤紫の花を咲かせるたくさんの萩が植えられている」

とある。


紫式部ゆかりの寺「蘆山寺」のまん前にあったので、行ってみた。


(訪問は10月中旬)


梨木神社の正門鳥居!
なんと参道にマンションが建っている。

これは梨木神社が社殿の改修費用等にあてるため、境内の土地2100平米を開発業者に60年の定期借地権で貸したもの。
開発業者はマンションを建設して分譲し、60年後に更地にして返す契約。



せっかくの参道が台無しやなと一瞬思ったが、ガイドブックを見て初めて訪れたところなので、実際のところあまり感慨もない。









ガイドブックのとおり、境内は萩の木でいっぱいであった。

こんなかんじ


じつは萩がどんな花なのか、いつが見ごろなのか全く知らない。
花に興味がないので、人に聞いてもすぐに忘れてしまう。
それどころか「萩」と「荻」もどっちがどっちかよくわからない。


けれども梨木神社は別名「萩の宮」といわれるほどの萩の名所(らしい)。





そんな萩で有名な梨木神社の萩を、ノーベル物理学賞受賞の湯川博士が詠んでいる。


千年の昔の園もかくやありし木の下かげに乱れさく 湯川秀樹


境内に歌碑

(もちろん明治時代に創建された神社なので、平安歌人が詠んだものは当然残っていない)



湯川博士は1歳で京都に移り住み、小中高も京都、大学も京都大学で、京都市の名誉市民になっているようだ。





上田秋成の歌碑もあった。

ふみよめば 絵を巻きみれば かにかくに 昔の人の しのばるるかな 上田秋成


境内に歌碑

梨木神社は上田秋成の終焉の地らしい。









いったい萩の見頃はいつなんだろうか




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