すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


那谷寺(石川県小松市)




石川県の名刹、那谷寺(なたでら)。
もともと養老年間に白山信仰の霊地として開創。
平安時代に花山法皇が西国三十三か所の霊場を巡ったあとに当地を訪れ、「朕が求める三十三か所は全てこの山にあり」と語り、第一番の智山青岸渡寺と第三十三番の汲山華厳寺から一字ずつ取って、「那谷寺」と改めたと伝わる。


松尾芭蕉も奥の細道の旅の途中で訪れている。

 山中の温泉に行ほどに、白根が嶽跡にみなしてあゆむ。左の山際に観音堂あり。

奥の細道の本文では小松から山中温泉に向かう途中で那谷寺に寄ったことになっている。ただし同行の曽良の記録によると、山中温泉に八泊した後に北枝(弟子)とともに那谷寺に向かっている。
この間の消息は、古来、奥の細道の謎のようになっているが、意図的だったとしても、思い違いだったとしても、江戸時代の旅の記録なのだから、細かいことはどっちでもいいのだが。





那谷寺へ行ってきた

【那谷寺】 石川県小松市那谷町ユ122


那谷寺のオリジナルキャラクターの「なたちゃん」がお出迎え



これが山門。



金堂華王殿の入り口付近。
十一面千手観世音菩薩を祀る。



「名勝 那谷寺庫裏庭園」



参道。



見事な杉並木と石灯篭が静謐な空間を作っていた。



この日は朝から雨が降ったので、苔の緑が素晴らしかった。



参道をずーと歩いていくと、本殿にたどりついた。これは「大悲閣」と呼ばれている。国の重要文化財らしい。
京都の清水寺のような作りで、岩壁に張り付いている。
本尊を安置していて「胎内くぐり」がある。
たしかに興趣があった。



三重塔。これも重文。



えーと、これは何やったかな。
鎮守堂らしい。


ここは展望台になっていて、正面に「奇岩遊仙境」が見える。



右手の稲荷社を含めて、「奇岩遊仙境」は名勝指定されている。



奥の細道には、奇岩遊仙境を望んだときの記述がある

 奇石さまざまに、古松植ならべて、萱ぶきの小堂、岩の上に造りかけて、殊勝の土地なり


そして有名な次の句を詠んだ。


石山の石より白し秋の風 松尾芭蕉



境内に句碑と翁塚がある

句解としては、那谷寺の奇岩遊仙境の石山に吹き付ける秋風は、石の白さよりも白々としているって感じで、分かるようで分からない。

上の写真の通り、奇岩遊仙境の石山にそれほど白さを感じないのだが、芭蕉が訪れたころは、折しも僧侶たちが奇岩を削ったばかりで、白く見えたのかも知れない。














駐車場前の土産物屋さんは「花山亭」と、
いかにもの店名でした。






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