すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
月ごとに流ると思ひし増鏡 西の浦にもとまらざりけり | 菅原道真(新古今和歌集) |
「西ノ浦」は、方位を表す「西」と、普通名詞の「浦」の組合わせで、「西にある浦」のこと。 この場合、どこを基点に方角を定めるかであるが、詠み手の菅原道真が太宰府下向の途中に勝間浦でしばらく滞在したときの詠歌であるから、勝間浦から見て西にあることになる。 勝間浦は現在の防府の市街地辺りのこと。 歌の内容は、月の出るたびに西へ流れてゆくと思っていた増鏡(月の異名)であるが、西の海に入って(そこで止まらず)また東から出てくるのは羨ましい、自分も(西に行くのではなく)東へ(都へ)帰りたい、といったかんじ。 現在、西ノ浦は埋立てられて「西浦」という地名となっている。 航空写真の地図は下図の通り |
■ 現地訪問![]() 西浦の防府環状線 西浦は埋立てられて田園が広がるが、一部に内海が残る ![]() これは西浦漁港 ![]() 防府天満宮から西浦の方向を望む |