すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


野田川(京都府宮津市)





小ネタ


野田川は、京都府与謝郡与謝野町を流れる二級河川

Wikipediaによると、

・大江山山系を水源として端を発し、与謝野町を北向きに縦断しながら阿蘇海に流入

・日本三景の天橋立は、野田川が運んだ砂によってできた

・河川改修を機に、2008年頃からサケの遡上が見られるようになった

・野田川流域を囲む山地部が丹後天橋立大江山国定公園に指定





この野田川、往昔は「倉椅川」と呼ばれていた。
倉椅川と、河口近くの倉椅山は、その風光明媚な地相から、丹後に訪れた歌人たちによく詠まれた。


橋立倉椅川にかる螢 永き日くらし涼む頃かな 後鳥羽院


飛螢もへこそ渡れ橋立倉椅川のくらき波間に 頓阿法師


白雲のたな引いたる倉椅の 山の松とも君はしらすや 紀貫之


霧はれぬ倉椅山の秋風の 音にや月を鳴き渡るらん 慈鎮


倉椅の山のかひより春霞 としをみつゝやなり渡るらん 藤原朝忠





ややこしいのは、倉椅川と倉椅山は大和国にもあり、万葉集以来のそれなりに知られた歌枕であること。

古歌を一つ一つ、これは丹後の倉椅川だ、これは大和の倉椅山だと見分けるのは難しい。

しかもなお、「橋立」は「倉」に架かる枕詞なので、「橋立」があっても天橋立とは関係が無いケースもある。

まあ、丹後国の国府が府中の辺りにあったので、京の都から貴人たちの往来があったのも確かなので、それなりに歌は詠まれたのだろう。







■現地訪問


国道178号線の岩滝橋から上流方面を望む
左手は倉椅山、近代は須津鉄山と呼ばれた



下流方面。阿蘇海に注ぐ



岩滝橋から倉椅山



大内峠から倉椅山を眺望


















通りすがりの故地めぐりでした






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