すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


野嶋崎(のじまざき)(滋賀県東近江市)






近江路野島が崎の浜風に夕波千鳥立ち騒ぐなり 顕輔集


野島崎神社の社殿左の奥に歌碑



近江路野嶋崎の浜風に(いも)が結びし(ひも)ふきかへす 玉葉集


()べて野島を過ぐる狩人の 弓末(ゆずえ)も見えず繁る夏草 後嵯峨院





一般的に、「野嶋崎」は淡路国の歌枕として有名である。

万葉集でも御食つ国、淡路国の野嶋として詠まれている。
(御食つ国・・・皇室に食材を献上した国。淡路国、志摩国、若狭国)

ただし、近江国の野嶋崎も少数であるが詠われている。

「崎」という文字があるとおり、どちらも水辺に突き出た岬の地形だったのか。


インターネットで大昔の琵琶湖の地図を探してみたがなかった。

昭和10年頃の地図なら「水土里ネット」という干拓改良区のホームページに掲載されていた。

一部加工して使わしていただく。


赤い星マークのところが野嶋崎だと思われる。現在野島崎神社がある。

まだ干拓されていない大中の湖に面している。ただしもっと前の、歌が生まれた時期の地形は分からない。

東近江市立図書館とかに行けば資料があるだろう。










■とにかく現地訪問してきた


野島崎神社の社頭



水路に石橋が架かっていた



社殿



じつは、境内でうろうろしていたところ、冒頭写真の歌碑を“発見”したもの。黄色の枠内に見えるとおり、社叢の中にあり、分かりにくい。
せっかく地元の歌なので、もっと前の方に設置したらいいのに。
(残念)



もっと残念なのは、伊勢神宮の遙拝所の前に民家が建っており、最早ここでは伊勢神宮に向かって遙拝できないこと
※今時だれも伊勢神宮遙拝などしていないが(現代では日帰りでも伊勢神宮へ行けるので)



野島崎神社から東向きに撮影
昔はここも湖だったようなかんじである















歌碑の裏を確認すると、個人が還暦の記念に奉納したものとありました。


私も還暦記念に歌碑奉納など、考えてみたい。
(費用はいくらぐらいかかるのだろうか)





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