すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


野中の清水(神戸市西区)




「野中の清水」って、なんて単純なネーミングなんだ!
、と別の意味で興味をもってしまった。
多分、野原の真ん中に清水が湧いているのだろう、と。







【野中の清水】

まずは周辺の様子

水田が広がっていた。



梅雨の最中であったが、ヘビが出てこないか心配で、これ以上近づけなかった。



この辺りは印南野台地の丘陵端なのだろう。





現在では「野中の清水市民公園」として整備されている。




これが野中の清水、素晴らしい!!!
現地の案内板によると、「どんな日照り続きの時も清水が湧き出ていて、日本五水のひとつとも播磨十水のひとつとも言われた」とある。




何かを感じて、この写真を撮ったのだが、何かを忘れた。




こんな野中の清水は古今和歌集以来の多くの歌人に歌枕として詠まれている。


いにしえの 野中の清水 ぬるけれど もとの心を 知る人ぞ汲む 古今和歌集


むかし見し 野中の清水 かはらねば我がかげをもや思ひ出らん 西行


今はとも 思ひなたえそ 野中なる 水のながれは 行きてたづねむ 大中臣輔親(新古今集)


汲みみてし 心ひとつをしるべにて野中の清水 忘れやはする 源 国信


わがためはいとど浅くやなりぬらん野中の清水ふかさまされば 後撰和歌集


いにしへの野中の清水見るからにさしくむものは涙なりけり 後撰和歌集




これらの歌を改めて読んでみたが、よく分からない。
たぶん、清水の水面に映る恋人の面影を見て、懐かしい、忘れない、思い出す、というふうに関連させたのであろう。







摂津名所図会「野中清水」

(早稲田大学図書館)










神戸市西区岩岡町野中、「野中の清水自然公園」内






「野中の清水」でもいいのですが、もっと趣きのある
名前だったら、もっとメジャーになっていたかも





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