すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


直方(福岡県直方市)






私は古里を持たない 旅が古里であった 林芙美子
直方市須崎町2-26 須崎町広場に記念文学碑


花のいのちはみじかくて 苦しきことのみ多かりき 林芙美子










「放浪記」は、林芙美子が自身の放浪生活を綴った自伝的小説であるが、少し前まで「放浪記」といえば、舞台に年老いた森光子が出てきて、でんぐり返りをやって、拍手喝さいを浴びるというワンパターンの場面のことで、実際全体としてどんな舞台なのか分からないが、でんぐり返りのシーンが繰り返された。おばあさんのでんぐり返りの何がよかったのだろうか。
最近は見ることもなくなり、ホッとしている。



直方は放浪記に何度か登場する。
林芙美子の少女時代、直方の木賃宿で家族で暮らし、母親はバナナの露天商をしていた。林芙美子はアンパンを売っていた。



放浪記に書かれた直方の様子

直方の町は明けても暮れても(すす)けて暗い空であった。砂で()した鉄分の多い水で舌がよれるような町であった。」


「私はよく多賀神社へ遊びに行った。そして大勢の女や男達と一緒に、私も馬の銅像に祈願をこめた。いい事がありますように。―多賀さんの祭には、きまって雨が降る。多くの露店商人達は、駅のひさしや、多賀さんの境内を行ったり来たりして雨空を見上げていたものだった。」







林芙美子がよく遊びに行ったという多賀神社に行ってみた。

■多賀神社 ・・・ 福岡県直方市大字直方701








これが林芙美子が願いをかけた馬の銅像。
当時のままなのだろうか。
なんとも感動的な対面であった。



どうでもいい写真だが、右の山の上に多賀神社がある。




















Wikipediaより





直方は、「のおがた」と読む。「なおかた」ではない。





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