すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


丹生川(奈良県下市町)




奈良県の下市口から国道309号線を南下していき、峠をこえていくと、きれいな谷川に出会う。
緑深い紀伊山中では、どこにでもあるような光景なのだが、ここでは古代から(水銀)が産出したことから、川の名前は丹生川。
この丹生川のほとりに鎮座するのが「丹生川上神社(下社)」。

丹生川上神社の「下社」と言うからには、「上社」も「中社」もあるわけで、それぞれ川上村と東吉野村にある。

もともとは三社は同じであったようだが、長い歴史の中で、どこが本来の神社であるか分からなくなってきたようで、専門家の中でも意見が分かれている。下社と中社は自分のところが本家であると主張し、上社はどこが本家かわからなくなったとしている。




下社は天川村の日帰り温泉に行く道の途中にあるので、ちょっと寄ってみた。



非常に立派な大鳥居であった。



境内




これが拝殿。
その奥の山をかなり上ったところに本殿。







ここに後醍醐天皇の歌が伝わっている。


ここはなほ丹生の社にほど近し祈らば晴れよ五月雨の空 後醍醐天皇




下社の境内に歌碑



歌の通り、古来、この神社は雨に関する神を祀っていたようで、中世までは朝廷より雨乞い・雨止めの奉幣祈願が行われたという。
なお朝廷は、雨が降ってほしいときは「黒馬」を、雨が止んでほしいときは「白馬」を献じたと記されており、それにちなんで現在も境内に白と黒の馬が飼われていた。















下社の前の道路を渡ると丹生川が流れている。
冬の渓流は静謐とした雰囲気であった。







子供が小さかったころ、この近くにキャンプに来た。









馬というよりもロバ程度の大きさでした。




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