すさまじきもの ~歌枕探訪~


尾花沢(山形県尾花沢市)





奥の細道で、松尾芭蕉は尾花沢には計画的に訪問予定日を調整していたようだ。それは当地名産の紅粉(べに)花の開花時期と合わせたもの。紅粉花は女性の化粧品の紅の原料になる花で、夏至の少し後の時期に一斉に咲きはじめる。

滞在したのは、出羽の俳壇の重鎮であるとともに、紅粉花を取扱う豪商の鈴木清風宅、そして近所の養泉寺。清風宅は商いのため落ち着いて滞在できないとの配慮から、清風は養泉寺へ案内したようだ。

芭蕉たちの尾花沢での滞在は10泊11日に及ぶ。
その間、近郊に住む俳人たちが次から次にやってきて、芭蕉たちを歓待した。そして歌仙興行を開いている。





そんな奥の細道ゆかりの地、尾花沢を訪問した。


鳴子温泉で温泉を楽しんだあと、芭蕉と同じく山刀伐峠の県道28号線を経由して尾花沢へ向かった。



目的地は尾花沢市の「芭蕉・清風歴史資料館」(尾花沢市中町5番36号)。



ところが水曜日で定休日であった。
紅粉花がどんなものか知りたかったので残念。



資料館。ここは鈴木清風の屋敷跡らしい。



芭蕉像があった。



横から見た資料館。昔の商家を模しているのかな。





そしてここが養泉寺。資料館から約300メートルのところ。芭蕉たちは7泊している。(尾花沢市梺町2-4-6)




本堂?



「涼し塚」。芭蕉の句から採っている。



社務所、のような建物



尾花沢での歌仙の表四句の句碑があった。

涼しさを我宿にしてねまる 芭蕉
つねのかやりに草の葉を焼 清風
鹿子立をのへのし水田にかけて 曽良
ふゆづきまるし二の丸の跡 素英


境内に句碑




「奥の細道」には、上記の『涼しさを~』の他、次の三句が収録されている。

這出よかひやが下のひきの聲 芭蕉
まゆはきを俤にして紅粉の花 芭蕉
蚕飼する人は古代のすがた哉 曽良




「涼しさを~」の句の下五は『ねまるなり』であるが、「ねまる」は奥州地方の「寝る」ことの方言らしい。

なんと、東北中央自動車道の道の駅の名称は「花笠の里 ねまる」であった。関連性があるのかな。

道の駅 尾花沢 花笠の里 ねまる
(尾花沢市芦沢1195−1)













紅粉花をインターネットで調べたら黄色の花であった。
調べ方が間違ったのかな?






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