すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


朧の清水(京都市左京区)





大原の里の、寂光院へ向かう道すがらにある。
都名所図会では、
「むかしより名高き清水にして、和歌に詠ずること数多し」
「つねに滾々(こんこん)として、月の影は清水にやどりて澄み」

と記されている。
昔は月の影が水面に映るほどの水量を湛えていたようだ。



現在の姿はこれ


これが「朧の清水」



「朧の清水」の接写!!
地下水位が変わったのか、どうなのか、わずかな水が湧いていたが、「月影が宿る」ようなモノではなかった。



そもそもこの写真のように、右手に山が迫っており、角度的にも月影が宿るような余裕がないように思えるのだが。



「朧の清水」はこんなかんじで路傍にあるが、ついつい見過ごしてしまいそうであった。



周りの景色。大原の里はちょうど桜の時期であった。



近くの喫茶店の名は「朧路」





こんな名泉「朧の清水」を詠んだ歌



ふりにける朧の清水むすびあげて昔の人の心をぞくむ 藤原俊成

寂光院に住んだ建礼門院が朧月夜にわが身を写し嘆いたといわれる。



程へてや 月も浮かばむ 大原朧の清水 澄むばかりに 良暹(りょうせん)法師



ひとりすむ 朧の清水 友とては 月をぞ宿す 大原の里 寂然法師



すみなれし おぼろの清水せく塵を かきながすにぞ すゑはひきける 西行



入る月朧の清水いかにして つひに澄むべき影をとむらん 順徳院(続古今集)



大原や いづれ朧の清水とも 知られず秋は すめるかな 兼好法師



春雨の 中におぼろの 清水かな 与謝蕪村



やはり月関係の歌が多い。






写真のマークの場所が朧の清水









寂光院への行きしなは見過ごしてしまい、
帰りに見つけました。








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