すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
緒絶橋(宮城県大崎市)
それなりにビッグネームの歌枕である。 「緒絶橋」という名前がいいのだろう。 「(玉の)緒」が絶えるということだが、「玉の緒」は宝石を通すヒモで、そのヒモは短いことから、人の命に例えられる。 恋人を追って都からやってきた姫がこの橋から川に身投げしたことから、緒絶橋となったようだ。 このため悲恋の歌がよく詠まれている。 松尾芭蕉は奥の細道の旅で、緒絶橋を目指したが、道を間違って到達できなかったと記している。 ■緒絶橋の現在の様子 ![]() 史跡として整備されている。 ![]() こんな感じ。 ![]() 橋そのものはコンクリートの桁橋で、なんてことのない橋である。 ![]() 反対側から。 ![]() 緒絶橋から上流を望む。なにかよく分からないが、昔風の建物が並んでいた。 こんな緒絶橋を詠んだ歌 |
みちのくの 緒絶の橋や これならん ふみみふまずみ 心まどはす | 藤原道雅(後拾遺和歌集) |
踏む(橋を渡る)と文を見るを掛けている。恋人からの手紙を見ることもなくなったと嘆いている。 この歌が国撰和歌集に入集されたことから、緒絶橋は悲恋の橋として有名になったとのこと。 |
妹背山 深き道をば 尋ねずて 緒絶の橋に 踏み迷ひけるよ | 源氏物語 |
これは源氏物語で、柏木が玉鬘に恋したときの歌。 なんと言うか、柏木は玉鬘のことを光源氏の子供だと思って恋心を抱いたのだが、なんと実は、自分の親である頭中将の隠し子だった!? と言うことは、玉鬘は自分の妹だったという、なんとも罪作りな設定であった。 悲嘆した柏木の歌である。 |
白玉のおだえの橋の名もつらしくだけて落る袖の涙に | 藤原定家 |