すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
小倉山(京都市右京区)
小倉百人一首とは、藤原定家が百人の和歌を一人一首ずつ選んだ歌集で、嵯峨野の小倉山荘の襖の装飾として色紙をしたためたもの。 いわば小倉山は百人一首の総本山のようなもの。 現在の小倉山 ![]() 写真中央の小山。 えも言われぬ見事な山容である。 ![]() 小倉山近写。嵯峨野から。 百人一首には小倉山を詠んだ歌が一首ある。 |
小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば いまひとたびの みゆきまたなむ | 貞信公(百人一首) |
小倉山の峰の紅葉よ。お前に人間の情がわかる心があるなら、 もう一度天皇がおいでになる(行幸される)まで、 散らずに待っていてくれないか。(小倉山荘ホームページ) |
夕づく夜 小倉の山に 鳴く鹿の 声のうちにや 秋は暮るらん | 紀貫之(古今集) |
牡鹿なく 小倉の山の すそ近み ただ独りすむ わが心かな | 西行 |
をぐら山 麓に秋の 色はあれや 梢のにしき 風にたたれて | 西行 |
小倉山 ふもとの里に 木葉ちれば 梢にはるる 月を見るかな | 西行 |
どうも小倉山は「秋」と「鹿」に関連付けられているようだ。 ただし、万葉集で有名なこの歌の小倉山は京都でなく、奈良県桜井市の小倉山らしい。 |
夕されば小倉の山に鳴く鹿はこよひは鳴かず寝ねにけらしも | 崗本天皇(万葉集) |
夕方に鹿が登場し、パートナーを探して鳴いているのは、京都の小倉山と同じような設定である。こういうものなんだろう。 |