すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


大原の里(奈良県明日香村)





万葉集には、天武天皇から藤原鎌足の娘の五百重娘へ贈った歌と、その返歌が収録されている。
とってもユーモアがあり、微笑ましい。


我が里に大雪降れり大原の古りしにし里に降らまくは後 天武天皇(万葉集)
お前はうらやましかろうね。私の住んでいる里には、こんな大雪が降ったぞ。
その大原の、さびれてしまった里に降るのは、おおかたのちのことだろう。
(大和万葉旅行/講談社学術文庫) 



(返歌)

我が岡のおかみに言ひて降らしめし雪のくだけしそこに散りけむ 五百重娘(万葉集)
 大変ご自慢ですが、あなた様のところへ降ったのは、わたしが住んで
います丘の雨竜にたのんで、わたしの慰みに降らした雪の砕片が、
そこまで散って行ったのでありましょう。
(大和万葉旅行/講談社学術文庫) 






大原神社前に上記二歌の歌碑


こんなホームページを作っていながら、あんまり歴史のことを知らないので、この機知に富んだ相聞歌の時代背景がよくわからない。
学生時代に日本史を選択しなかったツケがまわり、こんなところで損をしている。
まあ時代背景がわからなくても、なんとなく二人の人柄とか間柄とかを感じ取れる。





結局よくわからないままだが、明日香村に行った際に観光ルートに沿って訪問した。


ここが大原神社。藤原鎌足の生誕地らしい。


藤原鎌足顕彰会の説明板

この説明板から一部抜粋
「鎌足は、中大兄皇子(後の天武天皇)を助けて、「大化の改新」を推進する偉業をなし遂げた。669年、臨終の床で、天智天皇から、最高位の「大織冠」の冠位を与えられ、その後、一千年以上も続く藤原氏の祖となった。」

「ここ大原神社の奥の竹田川のほとりには、「藤原鎌足産湯の井戸」、左手の森には鎌足の母「大伴夫人」の墓がある。」
云々









この大原を採り上げる各種の案内本は、こぞって「落ちついた里」のイメージで紹介しているが、本当にそのとおりであった。


左手が大原神社



大原の里。
稲刈りが終わったところかな。



奥の家並みも良い。

落ちついていたのは、あんまり観光客がいないから。
かもしれない。









大原神社から西へ少し進むとちょっとした森があり、そこは藤原鎌足の母「大伴夫人」の墓である。

このこんもりした岡は、古墳らしい。



「大伴夫人の墓」の石碑


 





 MAP





大伴夫人の墓から100メートルぐらいのところに小さな小屋があり、
中で昼間から住民のカラオケに興じる歌声が漏れてきて、辺りの静寂を
破っていましたが、それはそれで牧歌的でよかったと思います。





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