すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
大原野(京都市西京区)
大原や小塩の山も今日こそは神代のことも思ひいづらめ | 在原業平(伊勢物語) |
伊勢物語七十六段 清和天皇の女御となった藤原高子が大原野神社の参詣した際に、昔の恋人の在原業平が供奉の一員として同行し、詠み奉った歌。 高子女御が参詣された今日という日は、藤原氏の祖先も神々の時代のことを思い出すでしょうと詠んで、実は、高子に業平と恋愛関係にあった頃を思い出させるような歌となっている。 小塩山の麓に鎮座する大原野神社は、藤原氏の氏神である奈良の春日神社の分霊を勧請して建立された。往事は、藤原氏一族に女の子が生まれると、将来の中宮や皇后になれるように祈願し、実際にその地位に就くと、美しい行列を整えてお礼参りすることが通例となっていたようだ。 歌枕としての大原は京都周辺に二カ所。 ここと、左京区の三千院がある大原で、実にややこしいが、歌の内容によって区別ができる。 大原野神社がある大原は、藤原氏関係の慶事、長久を表す「松」、あと小塩山を伴って詠まれる。 三千院がある大原は、京を捨てた「隠棲の地」のイメージで、炭窯で炭を焼く煙がシンボルであった。 大原野神社へ行ってきた ![]() 一の鳥居 ここから石段を上る ![]() ずっと参道が続く ![]() 参道の右手にあるのが「鯉沢の池」 奈良の猿沢の池を模したもの ![]() 由緒ある井戸である ![]() 本殿 ![]() これも本殿 春日大社との関連性はあるのかな? ![]() 狛犬ではなく鹿 春日大社では、鹿は神の使いとされてきた ![]() 干支の牛と一緒に描かれた鹿 ![]() 手水舎にも鹿がいた ![]() さらに茶店には、藤原氏のシンボルである藤の花 |