すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
大原の里(京都市左京区))
大原の里は京都屈指の観光地で、JTBのガイドブック「楽楽京都」によると、 「貴人たちが隠棲した洛北の隠れ里 大原は平安時代に比叡山を下りた僧侶が修行道場を開いた地で、貴人らの隠棲地ともなった。鯖街道とも呼ばれた若狭街道に沿うこの山里は、今も静かな佇まい。茅葺屋根も残るのどかな景観の中に、浄土を彷彿させる三千院や、「平家物語」の舞台にもなった寂光院などの名刹が点在し、紅葉の名所として知られる。」とある。 恋に疲れた女が一人で心を癒しにやってきても、十分に対応できるような観光地である。 ■「大原の里」関連の、手元にある写真を一挙掲載 ![]() 「道の駅 大原」から三千院の方向を写す。 ![]() 梅と高野川 ![]() 菜の花畑 ![]() これは桜かな。朧の清水のあたり。 ![]() お土産屋 ![]() 寂光院の参道。新緑がきれい。 ![]() 後ろの山は翠黛山。 建礼門院が花を摘みに行っていた山。 ![]() 建礼門院に仕えた阿波内侍を模した大原女。 頭の上に芝を載せて居る。 ![]() 三千院の参道にある漬物屋「志ば久」 ![]() これは三千院前の土産物屋 ・・・と、こんな風景である。 さて、昔の大原は「炭窯の里」として有名であった。 都に近いため、炭の供給地となっていたようだ。 炭窯で焼く竃の煙は大原のシンボル的な風景となった。 歌枕としての大原は「炭窯の里」として多く詠まれている。 |
日数ふる雪げにまさる炭竃の煙もさびし大原の里 | 式子内親王(新古今集) |
よそにてもさびしとはしれ大原や煙をたえぬ炭がまのさと | 土御門院(新続古今集) |
炭がまの煙の里の名にたててよそにもしるきをのの山下 | 藤原伊定(新続古今集) |
すみがまのけぶりは空にかよへどもおほはら山の月ぞさやけき | 赤染衛門集 |
みやこにも初雪ふればをの山のまきの炭釜たきまさるらん | 相模 |
炭竃のたなびく煙ひとすじに心細さは大原の里 | 寂然法師 |
小野山も大原山も炭がまの煙はおなじあわれなるらん | 慈鎮 |
小野山は、三千院の後ろの山のこと。 とにかく小野の里には炭窯の煙がたなびいていたようだ。 ![]() 三千院にある石仏。 「売炭翁石仏」、炭を売っていた翁の像とされている。 |
挿図の中に和泉式部と少将井尼の問答歌が載っている。 |
世をそむくかたはいづこも有ぬべし大原山は住よかりきや | 和泉式部 |
思ふ事大原山のすみがまはいとどなげきの数をこそつめ | 少将井尼 |