すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
大蔵(兵庫県明石市)
いろいろ勘違いしていたようだ。 まず「風土記逸文」に記述されている明石の物語を要約 ・仁徳天皇の御代に、 ・明石の大蔵谷にクスノキの巨木があった。 ・朝日が射すと淡路島が影に覆われ、 ・夕日になると難波の高津宮を影とした ・その巨木を伐って船を作ったところ、浪を飛ぶように進んだため「速鳥」と名付けた。 ・「速鳥」は明石の井戸の水を毎日高津宮へ届けた。 ・そのうちに、だんだんスピードが遅くなり中止になった。 |
住吉(すみのえ)の 大倉向きて 飛ばばこそ 速鳥と云はめ 何か速鳥 | 風土記逸文 |
こんな具合なので、歌の中の「大倉」は明石の大蔵谷と関連するのかなと思っていた。 ところがよく読むと、「大倉」は「住吉の大倉」で、「住吉の天皇が住んでいるところ」の意味。 「住吉の天皇のお住まいのところに、飛ぶように早く行ってこそ『速鳥』というのだが、遅くてはどうして『速鳥』なのか」という意味になる。 明石の大蔵とは関係がないのは明らか。 今回、“ゆかりの地”巡りとして明石の大蔵海岸に行ってきたが、徒労だったのかも知れない。 こんな気分になっているのだが、とりあえず写真を撮ってきたので掲載。 ![]() 大蔵海岸。西向きに明石海峡大橋が見える。 ![]() 東向き。 ![]() 淡路島が見える。 釣り人がいたが、真夏の真昼に何が釣れるのだろう。 ![]() 多分なにも釣れないだろうが、景色は抜群であって、釣り人も気分転換になるだろう。 せっかくなので、播磨名所巡覧図会から「大倉谷」 早稲田大学図書館 ![]() 手前が大蔵海岸 |