すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


大蔵(兵庫県明石市)




いろいろ勘違いしていたようだ。



まず「風土記逸文」に記述されている明石の物語を要約
・仁徳天皇の御代に、
・明石の大蔵谷にクスノキの巨木があった。
・朝日が射すと淡路島が影に覆われ、
・夕日になると難波の高津宮を影とした
・その巨木を伐って船を作ったところ、浪を飛ぶように進んだため「速鳥」と名付けた。
・「速鳥」は明石の井戸の水を毎日高津宮へ届けた。
・そのうちに、だんだんスピードが遅くなり中止になった。

住吉(すみのえ)大倉向きて 飛ばばこそ 速鳥と云はめ 何か速鳥 風土記逸文



こんな具合なので、歌の中の「大倉」は明石の大蔵谷と関連するのかなと思っていた。
ところがよく読むと、「大倉」は「住吉の大倉」で、「住吉の天皇が住んでいるところ」の意味。
「住吉の天皇のお住まいのところに、飛ぶように早く行ってこそ『速鳥』というのだが、遅くてはどうして『速鳥』なのか」という意味になる。

明石の大蔵とは関係がないのは明らか。



今回、“ゆかりの地”巡りとして明石の大蔵海岸に行ってきたが、徒労だったのかも知れない。


こんな気分になっているのだが、とりあえず写真を撮ってきたので掲載。


大蔵海岸。西向きに明石海峡大橋が見える。



東向き。



淡路島が見える。
釣り人がいたが、真夏の真昼に何が釣れるのだろう。



多分なにも釣れないだろうが、景色は抜群であって、釣り人も気分転換になるだろう。









せっかくなので、播磨名所巡覧図会から「大倉谷」  
早稲田大学図書館

手前が大蔵海岸















こんな訪問もありかなと思ってます。





copyright(C)2012 すさまじきもの 〜「歌枕」ゆかりの地☆探訪〜 all rights reserved.