すさまじきもの ~歌枕★探訪~ |
大野(富山県高岡市)
大野路は繁道茂路茂くとも君し通はば道は広けむ | 作者未詳(万葉集) | |
大野の道は草木が茂りに茂った道です。でもいくら草木が茂っていても、 あなたが通われるなら、道はきっと広くなるでしょう。 「越中万葉を楽しむ」(高岡市万葉歴史館編) |
高岡市シルバー人材センター福岡支所(高岡市福岡町大野97−1)の前に歌碑
これも万葉集ネタ 「大野道」は、「大野」にあった道なのか、「大野」に向かう道なのか、よく分からないが、研究者の考察により、砺波平野の東部にあった道とされている。 ところが万葉歌碑が設置されているのは、砺波平野の西縁の、小矢部川の氾濫原のような場所。 とはいえ本物(?)の大野道も、ここだ!という決定もなされていないので、結局、上記の小矢部川の近くの万葉歌碑を訪ねていくことにした。 万葉歌碑が設置されている高岡市シルバー人材センターの住所は、高岡市福岡町大野であり、「大野」つながりで歌碑の設置に至ったのであろう。 こんな調子なので、撮るべき風景写真もなく、唯一撮ったのがコレ ![]() シルバー人材センターの前面道路を東向きに撮影。 今となっては何を狙った写真なのか分からない。 歌の解釈もいろいろある。 「今は狭い道だけど、君が通ってきたら広くなる云々・・・」は普通に読めば、女性が恋人の男性に自宅へ通ってくることを促しているようにとれる。また一説には、「君」は身分の高い人で、例えば大伴家持の国守就任を寿いだ歌とするものもある。 けれども何故そこに「大野」が登場するのか、よく分からない。 現在からは推定できない意味が「大野」という地名にあったのか、「大野」の語呂が良かったのか、それとも本当に偶然に「大野」で詠んだだけのことなのか。 まあ、万葉集の後に「大野」を詠んだ歌が見当たらないことを考えると、「大野」という地名にも、この歌自体も、あまり魅力のないものだったのだろうし、それゆえ、「大野」の場所の特定にも力が入らないのだろう。 |