すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
大崎(和歌山県海南市)
地図の通り、南側に湾口をもつ入江のところが大崎。 外海の荒天を避けるための波避けとして、見事な天然の良港である。 また地理的に四国に近いことから、かつてはここから四国へ舟がでていた。 これら風待ちの舟や、四国へ渡る舟が集まった大崎は、古代には大いに賑わっていたとのこと。 そんな大崎を詠んだ万葉歌 |
大崎の荒磯の渡り延(は)ふ葛の行方も無くや恋ひ渡りなむ | 万葉集 | |
大崎の荒磯のあたりに延び広がっている葛のつるのように、行方もなく 恋し続けることでしょう。(訳: 下津万葉歌愛好会) |
入江の方ではなく、北側の外海に面した崖の上に歌碑は設置されている。![]() これが「下津ピアランド」。釣り公園になっている。 ![]() 紀伊水道方面を望む。曇っていたのでイマイチであった。 ****** 次は天平時代に、藤原乙麻呂が舟で土佐へ配流される際に、沖から大崎を見て詠んだ万葉歌。 |
大崎の神の小浜は狭けども百船人も過ぐとはなくに | 万葉集 | |
大崎の神の小浜は狭いけれども、大勢の船人たちがここを通過せず 必ず寄っていくというのに、私は寄ることもできずに土佐へ流されていく。 (訳: 下津万葉歌愛好会) |
![]() 入江の中。 対岸に石油基地が見える。本当に長閑な風景である。 ![]() この方角に夕陽が沈む。和歌山県の夕陽百選に選ばれている。 ![]() 現地にあったパネルの写真を撮影。 紀伊国名所図会「大崎浦」 (国立国会図書館) ![]() 大崎の湾内に多くの船が碇泊している。 昔は南海道の港町として殷賑を極めていたようだ。 |