すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


岡部(静岡県藤枝市)



岡部と言えば、東海道の宿場町の岡部宿であるが、古典文学的にはどうってことない。
東海道中膝栗毛では岡部の豆腐で登場するが、これもどうってことない。
小野小町の「姿見の橋」もあるが、どうもな〜。
宿場町が再現されているが、あんまり興味ない。
こんな中で私を惹きつけたのは、西行「笠掛の松」であった。


岡部宿の東の端にあった。

これが目印。



「笠掛松西住法師墓」入口とある。



こんな感じで迷うことなくいけるのだが、



なんと、お目当ての笠掛松は、山の上にあるらしい。
いろいろ考えたが、山登りはしないこととした。
連日の強行軍でちょっと体調が悪かった。



これが案内板にあった昔の笠掛松の写真
現在は代替わりしていて、この写真の松は根っこ部分だけが残っているらしい。





西へ行く雨夜の月や、あみだ笠、影を岡部に残して 西行


西行の弟子であった西住は、旅の途中、志太郡岡部で病死した。西住を葬った塚の傍らの松に掛けた笠には、西行の歌が記してあったという。












岡部宿の街道風景



宿場町の風景を撮ったつもりが、ちょっとおかしい写真になってしまった。
まあ、それなりに観光できそうな感じであった。



歌枕の岡部


身のうさのまた友もなきたぐひ哉をかべの里のの一もと 宗尊親王(歌枕名寄)
夕日さすけしきもさびしたてるをかべのさとは山陰にして 冷泉為相(海道百首)
これぞこのたのむ木のもと岡辺なるのあらしよ心してふけ 東関紀行


今、気付いたが、岡辺の歌のどれも「松」を題材として詠っている。
もともと岡辺の松が有名だったのか、西住のことがあって岡部と松が組み合わされたのか。
どうなのかな。










西行「笠掛の松」のかなり正確な位置です






案に相違して、そこそこ楽しい訪問でした。






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