すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


興津(静岡市清水区)



興津と言えば興津川。
広重の浮世絵で有名。


興津川は、東下りの方向(東京方面へ下る)で言うと、清見関を越えたところにあり、薩た峠の手前の川。

「東海道名所図会」には、
この川瀬にて、初夏より中秋の頃まで、鮎を漁すること多し。いたって美味なり。
とある。

Wikipediaの「興津川」の項目にも
清流として知られ、狩野川とともに静岡県の鮎釣りの名所である。東日本で一番早くアユ漁を解禁する。
とあり、とにかくで有名らしい。





こんな風景。
興津川の名もなき橋から撮影。

下流方面。東海道本線などがある。


上流方面。東名高速が見える。





では、興津川の歌


清見がた月にむかへるおきつ河流るゝ影や海にいづらん 権僧正承澄(夫木抄)
波たてるくぬぎが陰に駒とめて興津河原にしばし涼まん 法親王(明玉集)
海にいづるみなとはおなじ興津河たへずや瀬々の猶深くして 明日香井雅経(明日香井和歌集)











ちょっと趣向が変わっているのが、十六夜日記の阿仏尼のこれ。

なおざりに見るめばかりをかり枕むすびおきつと人にかたるな 阿仏尼(十六夜日記)
(私訳)ちょっといい夢を見たいなと思って借りた枕です。
誰とも一緒に寝ていないので人にしゃべらないで。

この歌を詠んだ頃、阿仏尼はお婆さんであったはず。




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興津の町並み。山の手前にJR興津駅がある。











次、これは興津の潟や磯を詠んだ歌。


おきつがた磯ねにちかき岩枕かけぬ浪にも袖はぬれけり 源光行(夫木抄)


えーと、興津
興津川河口の西方の海岸かな。
けれどもそこの古名は「許奴美浜」であったはず。
河口の東方は「岫が崎」だとされている。
・・・と、いろいろ考えても詮ないことで、当方で勝手に想像しよう。

地図を見ると、「興津埠頭」というのがあり、コンテナ埠頭として整備されている。興津の干潟や磯が埋め立てられて、コンテナ埠頭になってしまったが、名前だけは残っていると解釈!


これが「興津埠頭」!
はるかにコンテナクレーンが望める。
ここが古来の歌枕の地、「興津潟」であろう。







現在の興津埠頭のスペックを紹介
(清水港のホームページより/静岡県清水港管理局)

興津埠頭

機能

■総面積 128,917u
■コンテナ蔵置能力  グランドスロット3,981TEU
■ゲート 10レーン
■荷役機械

コンテナクレーン 5基

コンテナクレーン        
   (内訳)  1号機 2号機 3号機 4・5号機
(吊上荷重) 57.5t 57.5t 57.5t 58.3t
(定格荷重) 40.6t 40.6t 40.6t 40.6t
     (アウト・リーチ) 51.5m     51.5m 51.5m 51.5m
     (バック・リーチ) 15.0m 15.0m 15.0m 15.0m
(全 揚 程) 51.5m 51.5m 51.5m 51.5m
(対応船舶) 6段積:18列 6段積:18列 6段積:18列 6段積:18列
トランスファークレーン (タイヤ式橋型) 12基
(定格荷重) 40.6t

岸壁

水深(m) 延長(m) バース数 主な取扱貨物
-15.0

700

60,000DW×2 コンテナ貨物















ここには色々書きましたが、本当は印象に残らないところでした。






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