すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


尾上の松(兵庫県加古川市)






昭和の頃のタカラジェンヌの芸名

春野寿美礼
浜木綿子
梓真弓
八千草薫
久邇京子

これらは万葉集から着想を得たらしい



新珠三千代
淡島千景
雲野かよ子
有馬稲子
奈良美也子
瀧川末子
天野香具子
住江岸子
有明月子
瀬尾はやみ
霧立のぼる
大江文子
小倉みゆき
筑波峰子
天津乙女
雲井浪子
若菜君子
関守須磨子
篠原浅茅
九重京子
浦野まつほ
人見八重子
初瀬音羽子
美山小夜子
伊吹かく子
秋葉しげる
桂よしこ
滋賀立子
若沼月香
夏木てふ子
甲斐珠子


百人一首より




探せばもっと出てくるのだろう。
ただし宝塚歌劇団を全く知らないので、興味も半減だが。









歌舞伎俳優の「尾上松也」
これも歌枕から採った芸名であろう。
歌舞伎に全然興味ないので何とも分からないが、最初にテレビでこの名前を見たときは感激したものだ。




そして、この駅名を見た時も感極まる思いがした。

山陽電車「尾上の松」駅

まさに名勝そのものの駅名であるが、観光客の姿は見えず、地方都市郊外の普通の駅であった。



こんなかんじで、閑散としていた。













一般的に、「尾上(おのへ)」は「高砂」に続くものであり、「高砂の尾上」として和歌に詠まれてきた。
「高砂」は往古のこの地域一帯の総称で、「尾上」が具体的な地名であったとか、「高砂」は普通名詞として、砂がうず高く積った場所だとか、いろいろな説があるが、よく分からない。
ただ、「高砂の尾上」は不可分なものだと思っていた。


ところが、播磨地方の歌枕の地を調べてみると、「高砂」は高砂市にあって高砂神社があり、「尾上」は加古川市で尾上神社がある。しかもどちらも根元で二本に分かれた「相生の松」が代々植え継がれている。


よく分からないが、名所とはこんなものなのだろう。










とりあえず今回は尾上神社に行ってきた。

【尾上神社】 ・・・ 加古川市尾上町長田字尾上林518


昔ながらの鳥居なのか、こんな感じの大門



これが「尾上の松」で、別名「相生の松」



「片枝の松」
神功皇后を慕って東向きにだけ枝が伸びるらしい。
これは三代目。



「片枝の松」の石碑




そしてこれは次代の「尾上の松」を苗木から植えているもの。
松喰い虫に耐性を持つ種類の松らしい。



ここで八代目と九代目が育てられている。



立派な謡蹟碑があった。
謡曲「高砂」の一節
所は高砂尾上の松も年ふりて、老の波も寄り来るや、
木の下陰の落葉かくなるまで命ながらへて
なほ何時までか生きの松、それも久しき名所かな
これだけでも大満足である。













「尾上の松」を詠んだ歌


高砂尾上にたてる松がえの色にやふべき 君が千とせは 後二条院(新後拾遺集)


尾上なる松の木末はうちなびき浪の声にぞ風もふきける 拾遺和歌集






播磨名所巡覧図会「尾上社」

早稲田大学図書館










芸能人の名前と古典文学との関係を研究してみたいです。





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