すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
尾道と言えば、広島県でも有数の観光地で、豊かな自然、レトロな街並み、絶品グルメなど観光スポットが盛りだくさん。わけても尾道ゆかりの作家や詩人の文学碑や歌碑が並ぶ「文学のこみち」は、私のような文学史跡巡りを趣味とする者にとって聖地といえる。尾道訪問前から行きたい場所を調べ上げて、車を停める駐車場まで確認していた。 ところが、 なぜか時間配分を間違えてしまい、尾道に着いたのが17時50分。そのあとに向島へ渡りまだ3ヶ所の目的地が残っていたため、ほとんど尾道を観光する時間はなかった。 結局、伊予銀行前の林芙美子像だけ訪問 ![]() ![]() |
海が見えた 海が見える 五年振りに見る尾道の海はなつかしい | 林芙美子(放浪記) |
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日のかげは青海原を照らしつつ光る孔雀の尾の道の沖 | 十返舎一九 |
のどかさや小山つづきに塔二つ | 正岡子規 |
ちゝ母の声かときこゆ瀬戸海にみ寺のかねのなりひゞくとき | 柳原白蓮 |
寒暁に鳴る指弾せし かの鐘か | 山口誓子 |
えい紅の碑あるあり四山眠れるに | 河東碧梧桐 |
千光寺に夜もすからなる時の鐘耳にまちかく寝ねかてにける | 中村憲吉 |
かけとものをのみちの宿のこよなきにたひのつかれを忘れていこへり | 金田一京助 |
千光寺の御堂へのぼる石段はわが旅よりも長かりしかな | 吉井勇 |
あれは伊予こちらは備後春の風 |
軒しげくたてる家居よあしびきの山のおのみち道せまきまで | 緒方洪庵 |
岩のまに古きほとけのすみたまふ千光寺山かすみたりけり | 小杉放庵 |
音に名高い千光寺の鐘は一里聞こえて二里ひびく | 偶謡 |
春の三月猫でもなけよ 備後尾道梅日和 | 野口雨情 |
景色はいい所だった。 寝ころんでいて色々な物が見えた。 前の島に造船所がある。 其処で朝からカンカンと |
志賀直哉(暗夜行路) |
尾道は、千光寺に行って、鐘を聞き(聞けるのかな)、向島の造船所を眺めて、そして「文学のこみち」を巡って坂を下りてくるというのが、いいようだ。 |