すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


大内山(京都市右京区)




「歌枕歌ことば辞典」(笠間書院)によると、大内山とは、@宮中のこと、A仁和寺の裏山の御室山、とある。

そして、仁和寺に隠棲していた宇多法皇を訪ねた藤原兼輔の次の歌は、両方の意味を掛けているとの解説があった。

白雲の九重に立つ峰なれば大内山といふにぞありける 藤原兼輔(大和物語)




大内山は仁和寺の山号であり、、仁和寺の背後の山とのことなので、仁和寺に行けばすぐに分かると思ったのだが・・・


仁和寺の仁王門を入ったところから大内山を望んだ。
ところが、背後の山はなんとも言えない形をしていて、なんだかよく分からない。


【拡大写真】

二上山のように二つのピークがあり、その真ん中にも背後から山頂が覗いている。右手の山の方が少し高く見えるのだが。
いったい大内山はどれなのか。



結局、疑問は解けないまま、家に帰った。




その後、自宅でネットで調べていくと、世の中には同じような疑問を抱いている人がいて、しかも深く考察し、完璧な結論を見出しているホームページを発見。

京都シティドットネット 大文字山や桜や遠景の話
きょうのまなざし
http://www.kyotocity.net/diary/

「きょうのまなざし」の中の、「京都 大内山」のページ
http://www.kyotocity.net/diary/2016/0923-ouchisan-omuroyama/


このホームページの説明によると、大内山は左の山とのこと。
右の山が手前にあるから高く見えるそうだ。
とても興味深い内容になっているので、ぜひご覧いただきたい。






つまり、こちらの山が








大内山の写真をもう一枚


















仁和寺は昔から桜の名所だった。
仁和寺の桜は御室桜といって背の低い遅咲きという特徴がある。
「わたしゃお多福 御室の桜 鼻が低ても 人が好く」という俚謡があり、御室桜は低木なので花の位置が低いことと、鼻が低いことを掛けていて、人々から愛されていたようだ。





仁和寺に訪問したのは4月の下旬のこと。
いくら遅咲きの御室桜であってもすでに葉桜になっていた。



御室桜
桜園は国の名勝に指定されているとか




【仁和寺の境内】


入り口の二王門を、内側から撮影
正面の写真がなかったが、なぜ撮らなかったのだろう



中門



中門から二王門を振り返る



参道を進む



参道の突き当たりに金堂がある



金堂は国宝



鐘楼、重要文化財



五重塔も重要文化財














近くの小学校は「御室小学校」
「兼好法師旧跡」の石碑があった



電気機器メーカーのオムロンは御室で発祥
「オムロン発祥の地」の石碑があった








仁和寺と御室を呼んだ歌



神さびていはふ御室の年ふりてなほ木綿かくる松の白雪 藤原定家


仁和寺御室にて、山家閑居見雪といふことをよませ給ひけるに
降りつもる雪を友にて春までは日を送るべきみ山べの里 西行


仁和寺や足もとよりぞ花の雲 春泥


ねぶたさの春は御室の花よりぞ 蕪村


松の実や楓の花や仁和寺の夏なほ若し山ほととぎす 若山牧水












都名所図会 「御室御門前之図」

「国際日本文化研究センター」




都名所図会 「御室仁和寺」

「国際日本文化研究センター」

左上の山が大内山









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大内山はハイキングコースになっているそうです









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