すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


小塩(をしほ)(京都市西京区)





「歌枕歌ことば辞典」(笠間書院)で小塩山を引いたところ、『しお・・・』にも『しお・・・』にも載っていなかったので、おかしいなと思っていたところ、『しほ・・・』で載っていた。


いやはや難しいというか、よく見ると、小倉山も『ぐらやま』で、小野も『の』だった。
ちなみに大原は『ほはら』


小塩山は、大原野の西にある山。山麓にある大原野神社は、平安遷都の際に春日大社を勧請した藤原氏の氏神。小塩山もそれとの関連性で詠まれたもの。


大原小塩の山も今日こそは神代のことも思ひいづらめ 在原業平(古今和歌集)


大原小塩の山のほととぎす われに神代のことをかたらなん 左大臣藤原冬嗣


大原小塩の山小松原はや木高かれ千代の蔭見ん 紀貫之(後撰和歌集)


藤原氏の繁栄を言祝いだ内容の歌がよく詠まれた。
その中で、松が景物とされて、特に小松原がしばしば詠まれることとなった。


小塩山小松が原の霞めるは はや大原に春はきにけり 別雷社歌合


小塩山小松が原の浅緑 春の色をば神のめぐみに 拾玉集


小塩山小松が原に鳴く鹿は 千代に一夜の身をや変ふらむ 壬二集


小塩山の上葉にけふやさは峰のうす雪花と見ゆらん 紫式部


小塩山深雪積もれる松原に今日ばかりなる跡やなからむ 源氏物語




どれも大原野神社が藤原氏の氏神であることを念頭にして、藤原氏の一層の繁栄を祝した内容となっている。











■ 小塩山眺望


大原野神社(右)と小塩山



小塩山はハイキングコースになっているらしい















この山麓はタケノコの産地として有名です






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