すさまじきもの ~歌枕★探訪~ |
尾津の一松(三重県桑名市)
【古事記より】 尾津前の一松のもとに到りまししに、先に御食したまひし時、其地に忘れたまひし御刀、失せずてなほありき。ここに御歌うたひたまはく、 (日本武尊が東征へ向かう際に尾津の一ツ松で食事をとった。そのときに刀をこの地に忘れたが、東征から戻ってくると、なくならずにそのまま残っていた。それで日本武尊は一ツ松に対して歌を詠んだ) |
尾張に直に向へる 尾津の前なる一つ松 吾兄(あせ)を 一つ松人に在りせば 太刀佩けましを衣着せましを 一つ松 吾兄を |
日本武尊(古事記) | |
尾張にまっすぐ向かっている、尾津の岬の一つ松よ。ああ愛しいあなた。 一つ松よ、あなたが人であったなら、太刀を身に付けてあげように、服を着せてあげように。 一つ松よ、ああ、愛しいあなた。(「古事記歌謡注釈」監修:辰巳正明) |
日本武尊のこの感動はよく分かる。 忘れ物をしてあきらめていたものが、戻ってみるとそのまま残っていたときの感動! しかもそれが大事な刀だったとしたら尚更である。 カズダンスを踊りそうになる。 そんな尾津の一ツ松は現在では三重県桑名市にて日本武尊関連の史跡となっているとの情報を得た。 それで三重県の史跡巡り行った際に訪問してみたのだが、とにかくさまざまな伝承地があり、Google Mapの表記相違もあったりして大変であった。 【現地訪問記】 訪問前は、GoogleMapの「日本武尊尾津前御遺跡」の地名情報があったので、そこに行けばなんかあると思って行ってみた。 ![]() GoogleMapのナビ機能に任せて車を運転。到着したのがここ「古浜神社」。村の鎮守社のような佇まい。 なにも日本武尊関係の石碑も案内板もなかった。 なんかおかしいなと、思った。 ![]() 境内から入口の方を望む。 古浜神社の名前からは、古代はこの辺りまで海が広がっていたことが想像できる。 そこで急遽、スマホで尾津関係のホームページを検索。 すると、「尾津神社」と関係があることが判明。 「尾津神社」は多度神社の近くに二つもあることを知り、現地へ向かった。 尾津神社(小山) ![]() 多度町小山の「尾津神社」。 ここも日本武尊との関係を示すようなものはなかった。 ![]() 境内は公園になっていた。 ![]() 「延喜式内 尾津神社」 よくわからないまま、次に向かったのは300メートルほど東にあるもう一つの尾津神社(戸津) ![]() こちらは立派な鎮守の森があって、それなりの雰囲気があった。 ![]() 拝殿はこんなかんじ ![]() こちらも境内は子供の遊技場になっていた。 ![]() なんか句碑があったけど、なんかな ただし、こっちの尾津神社にも日本武尊とか「尾津の一ツ松」との関係を示すモノがなかった。 とりあえず、いろいろと写真を撮ってきたので、それはそれで満足していたのだが、帰宅後にインターネットで調べてみると、「古浜神社」の近くに「草薙神社」という社があり、そこも「尾津の一ツ松」の伝承地とされ、なんとそこには「日本武尊御遺跡尾津﨑」の石碑があると言うではないか!! しかも写真を見る限り、社頭には日本武尊ゆかりの地の案内板も立っていた! 石碑や案内板は、『建てたもん勝ち』だと思う。 |
このホームページを見て、尾津の一ツ松に行こうとされる方のために、次のようにまとめてみた。(訪問後に作成した)
これを見ると、①草薙神社の石碑は魅力的だ。また③④尾津神社の名称自体も捨てがたい。 ②古浜神社については、Googleに文句を言いたい。 ※ その後、Googleに対し改善の提案したところ、修正された。 現在ではGoogleMapで「日本武尊尾津前御遺跡」と入力して検索すると表示されるようになっている。 〒511-0118 三重県桑名市多度町御衣野2222 |