すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


龍王寺(滋賀県竜王町)




この龍王寺関連の和歌を調べていたとき、なにかと寺の名前で混乱した。
とりあえずまとめてみる。


・710年に「雪野寺」として創建
・通称「野寺」とよばれ、和歌では「野寺」で詠まれる
・1007年に「龍王寺」に改められた
・寺の背後の山は「雪野山」、寺の山号も「雪野山」
・777年に寄進された釣鐘は霊験あらたかな梵鐘として有名になり、「野寺の鐘」として多くの歌人に詠まれた


こんな具合である。







【龍王寺】



「龍王寺と雪野山」





龍王寺を詠んだ歌(龍王寺のホームページより)


暮れにきと告ぐるを待たで降りはるる雪の野寺の入相の 和泉式部
暗き野寺の松の木の間より山ほととぎす声ぞ落ちくる 柿本人麻呂
更けにけり霜もや今はおちかたの野寺に月はすむなり 藤原俊成
蒲生野のしめのの原の女郎花 野寺に見するもいもが袖なり 大江匡房
昨日観し花のあたりに夜はふけて 野寺の声ぞ聞こゆる 藤原定家
一もとの野寺の花は散り過ぎて古りたる池に蛙鳴くなり 藤原家隆
鐘の音に鴨の羽音も哀れなり野寺の有明の空 藤原家隆
宵に聞く同じ野寺鐘の音にあわれは今ぞ尽き果てぬべき 藤原家隆
深き夜は誰ぞ待たるる寝覚めして野寺に袖濡らすらん 藤原信実
有明の月の行方を眺めてぞ野寺は聞くべかりけり 慈鎮(慈円)
暮れて尚跡なきに分け相ぬ野寺鐘よ音は何処に 慈鎮(慈円)
今日よりは秋の聲ぞと聞ゆなり野寺の暁の空 三条西実隆



野寺といえばだったようだ、しかも夕方とかがよさそうだ。
















こんな名刹がひっそりとたたずんでいる近江路は奥が深いです。






copyright(C)2012 すさまじきもの 〜「歌枕」ゆかりの地☆探訪〜 all rights reserved.