すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


酒折宮(さかおりのみや)(山梨県甲府市)





酒折宮は、日本書紀や古事記にも登場する由緒正しき神社である。


記紀では、日本武尊の東征の帰路に酒折宮に立ち寄った際のエピソードが記されている。

ある夜、日本武尊が家臣たちに歌で問いかけた。

新治 筑波を過ぎて 幾夜か寝つる

常陸国の新治、筑波をからここまでに幾晩寝ただろうか

家臣の中にだれも答える者がいなかった。
すると焚き火の番をしていた身分の低い老人が

日々(かが)(なべ)て 夜には九夜(ここのよ) 日には十日を

九泊十日でした

と歌を返した。日本武尊はこの老人を褒め讃えたとされる。

常陸を歴て、甲斐国に至りて、酒折宮に居します。時に挙燭して進食す。是の夜、歌を以て侍者に問ひて曰はく
新治 筑波を過ぎて 幾夜か寝つる
諸の侍者、え答へ言さず。時に秉燭者有り。王の歌の末に続けて、歌して曰さく
日日並べて 夜には九夜 日には十日を
即ち秉燭人の聡を美めたまひて、敦く賞す。則ち是の宮に居しまして、靫部を以て大伴連の遠祖武日に賜ふ。
『日本書紀』



二人で一首の歌を詠んだやりとりから、酒折宮は「連歌発祥の地」となり、文人たちが訪れる場所となった。










■ 現地訪問


境内の入り口
あんまりパワースポットとかに興味が無いが、ここではスピリチュアルなオーラを感じた。




社殿




連歌の歌碑があった




社殿から参道を振り返る




本居宣長の酒折宮壽詞碑




山縣昌貞の酒折祠碑












語りつぐ御歌とともに万代よろづよに つぎて栄えむ酒折の宮 本居宣長




「酒折夜雨」
暮ぬまのあらしはたえて酒折に まくらかるよの雨になるやと 冷泉為綱(甲斐八景)









甲斐叢記(甲斐名所図会) 「日本武尊酒折宮連歌図」

ROIS-DS人文学オープンデータ共同利用センター(CODH)






甲斐叢記(甲斐名所図会) 「酒折宮」

ROIS-DS人文学オープンデータ共同利用センター(CODH)














パワーを感じたのは、予め日本武尊の
エピソードを知っていたためだと思います。






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