すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


佐久(さく)(長野県佐久市)







「みなかみ紀行」は、若山牧水37歳の時に長野県、群馬県、栃木県を旅したときの紀行文。利根川の上流部分を見聞するということで、「みなかみ紀行」と名付けたもの。

冒頭部分、

「十月十四日午前六時沼津発、東京通過、其処よりM―、K―、の両青年を伴い、夜八時信州北佐久郡御代田駅に汽車を降りた。同郡郡役所所在地岩村田町に在る佐久新聞社主催短歌会に出席せんためである。駅にはS―、O―、両君が新聞社の人と自動車で出迎えていた。大勢それに乗って岩村田町に向う。高原の闇を吹く風がひしひしと顔に当る。佐久ホテルへ投宿。」


若山牧水は、沼津にある自宅を早朝に出発、東京を経由し夜に御代田駅に着く。そして佐久ホテルに宿泊。

翌日は新聞社の短歌会に出席し、また佐久ホテルに宿泊。


「あれが浅間、こちらが蓼科、その向うが八ヶ岳、此処からは見えないがこの方角に千曲川が流れているのです」

佐久ホテルの朝の風景らしい。

その後、若山牧水一行は星野温泉へ向かう。





現在の佐久ホテル





若山牧水は、佐久ホテルをこよなく愛したようだ。何度も泊まって足跡を残している。現在、同ホテルには「牧水」という部屋もあるとか。









牧水の歌碑があった

白玉のはにしみとおる秋の夜の酒は静かに飲むべかりける 若山牧水(歌集『路上』)


























若山牧水は佐久ホテルとともに佐久の酒もこよなく愛した。
特に中山道沿いの竹重本家酒造の代表銘柄である御園竹を気に入ったようで、歌にも詠み込んでいる。



中山道の茂田井間の宿。
左が竹重本家酒造、道が細すぎて駐車できなかった。
車の中から撮影。







玄関前に若山牧水の歌碑があった(三首)


(再掲)
白玉のはにしみとおる秋の夜の酒は静かに飲むべかりける 若山牧水(歌集『路上』)


ひとの世に楽しみ多し然れども酒なしにしてなにのたのしみ 若山牧水(歌集『黒土』)


よき酒とひとのいふなる御園竹われもけふ飲みつよしと思へり 若山牧水




これが御園竹
(竹重本家酒造のホームページより)













佐久ホテルと竹重本家酒造、どちらのホームページも
手作り感が溢れていて気に入っています。






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